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作者:3代目スレ878氏
備考1:竜馬(ゲッターロボ)×シーマ(ガンダム0083)
エンジンに火が灯ったあたしの新しい愛機、ガーベラ・テトラが勢い良くゲートを飛び出していく。
ちょっと前に裏取引でかっぱらってやったこの機体は、ゲルググも凌ぐ機動性と高い火力で敵を圧倒できる、あたし好みのマシンだった。さすがに元々ガンダムとして設計されただけのことはあるさね。
あっちこっちで爆炎が広がる、漆黒の戦場にあたしは放り出されていく。だけど、本気でドンパチなんてやるつもりはない。所詮デラーズなんてジオンの残党なのさ。元より勝てもしない戦争をしかけた馬鹿なやつら。
あたしはこんな所で朽ちるつもりはないね……仲間はみんな死んじまった。だけど、どんな手を使ってだって生き延びてやる。
「どきなぁっ!」
雑魚がぽろぽろとあたしの前に降ってくる。ふん。旧式風情が、地獄の苦しみも味わった事のない連中が……ガーベラに、そしてあたしに勝てる訳がない。ビームマシンガンを軽く掃射してやれば、すぐに爆炎の仲間入りだ。
だけど、あたしの大博打を全てフイにしてくれるヤツが迫ってくる。敵も味方も見境無く破壊してまわる白い巨体、ガンダム戦艦みたいなやつ。
そうだ、あいつはガーベラと兄弟の、ガンダム三号機……! あたしは怒りのあまり、なかば無意識にさけんでいた。
「あんたはどっちの味方なんだい!!」
そして、あたしは迫る三号機の長い砲身に貫かれて死ぬ……はずだった。怨嗟の叫びをあげながらも、最期を感じたあたしはその目を閉じた……
が、いつまでたっても意識はブラックアウトしない。それどころか無線から妙な声が聞こえてくる……なんだ? 一旦は閉じた目を開いた、その時だった。
「おおおぉぉらあああぁああぁッ!!」
「!?」
ど……どこから現れた!? 地の底から響いてくるような雄叫びと共に、あたしの目の前に、真っ赤で巨大なモビルスーツが……いや、大きさからしてモビルアーマーか?
よくわからないが、頭から角を生やしてマントを付けたふざけた格好のそいつは三号機に迫ると、でかい拳で思い切り殴りつける! 勢いよく吹っ飛ぶ三号機。
「な……なんてパワーだ!」
思わず叫ぶあたし。三号機の質量は半端じゃないはず、それを片手で……あり得ない。
あんな動きが出来るのは機動兵器の類なんかじゃない、あれは……だとしたら、なんだっていうのさ!? 赤い彗星の亡霊とでも言うんじゃないだろうね!
三号機は突然の乱入者に焦ったのか、少し距離を取るとミサイルを次から次へと打ち出してきた。まずい、あの赤いヤツやられるぞ……!!
そう思ったが、あたしの予想は完全に外れた。驚いた事に、赤いヤツはマントで身を包むとミサイルを防いじまった……動きもしない。あんな布切れがなんでミサイルを防げるんだ!?
あたしの疑問なんかそっちのけで赤いヤツはとんでもない加速で三号機に近づいて、豪快に回し蹴りをぶちかます。
その一撃をもろに食らった三号機は姿勢制御もままならず、あっという間に吹き飛ばされていった……。
真空だからすぐには見えなくならないけど、でかい三号機にあっという間に敵が群がっていくのがよく見えた。こっちに再び来るには邪魔が多すぎて、もう無理だろう。
あまりの呆気なさに、あたしはしばし呆然とする。
けど、実のところそんな暇はなかった。赤いヤツが、今度はあたしの方に振り向いたのだ。さっき以上の恐怖があたしを支配する……!
「う……うぅ、来るんじゃないよ! 畜生ー!!」
あたしはビームマシンガンを撃ちまくって赤いヤツを近づけまいとするが、ミサイルすら跳ね返すヤツにこれが通用するはずもなかった。ほぼ一瞬であたしに肉迫してくる……クソ、死ぬのがちょっと遅れただけかよ! ふざけんじゃない!!
そんな事を思ったすぐ後だろうか、機体に加わる衝撃と共にあたしの意識、は……。
・
・
・
頭が重い。そして何だか蒸し暑い。
あたしは死んだのだろうか。あの世なんざ信じちゃいなかったが、こりゃやっぱり……
「お、気が付きやがったな」
「え……?」
地の底から響いてくる様な声に、あたしの意識は覚醒してくる……今、あたしに意識があるって事は、つまり助かったって事か……けど、なんだここは。なんか、やたらと硬い地面に転がされてる様な感覚がするけど……
「そ、そうだ!」
そこまで思って、意識が失われる前の記憶が鮮明に蘇る。それに突き動かされてがばっと飛び起きた、あたしの視界に飛び込んできたものは――!
「ひ!」
情けない、このあたしが悲鳴を漏らすなんて……それでも漏らさずにはいられなかった。あたしの目の前には、ぼろぼろになったロングコートを羽織り、血の様な色のマフラーを巻いた長身の男がいたのだった。
そいつの釣り上がった目は殺気すら漂い、その鋭すぎる眼光であたしを射抜く。見れば、すぐそばにさっきの赤いヤツが座る様にして置いてあった。恐らく、あれのパイロットはこの男なのだろう……。
無言で佇む男に対して、長いこと続けた海賊生活で培った感覚が警鐘を鳴らす。こいつは危険だ!! と。不本意だけど、あたしは男をあまり刺激しないように、できるだけ下手に切り出すことにした。
「な……なんだかよく解らないけど、あ、あたしを助けてくれたのかい? あんた……」
何が助けてくれたのかい、だ。くそ。自分の言葉に虫唾が走る。それが弱弱しく聞こえたのか、ヤツがあたしの方に寄ってくる……嫌な予感がする。ち、男ってやつぁこれだから。
しかし男は開口一番、
「お前に聞きたい事がある。ここはどこだ」
「は?」
突飛も無い質問をする……犯されでもするかと思ったが、しかしヤツは突拍子もない事をあたしに聞いてきた。
ここがどこかだって? あんな派手に戦場に飛び出しておきながら、頭がおかしいのかこいつは。
男はあたしの反応をじっと待つ。……どうやら、あたしをとって食おうって気はないようだ。だけど、あの殺気は間違いなく本物だ。
もし、うかつな事を喋ればあたしの首は次の瞬間に胴体から切り離されているだろう。言葉を選んで答えなきゃあ。あたしはおずおずと切り出した。
「な……なに言ってんだい、あんた。ここで連邦とデラーズがドンパチやってんのは、あんたも知ってるだろう」
「知らん。いいから答えろ、ここはどこだ」
「……月と地球はわかるだろ。その中間の宙域さね。でも、ここは……空気があるってことは、どっかのコロニーにでも紛れたのかい」
「やはり、ここは地球か。とするなら……ここはパラレルの宇宙か」
かみ合わない会話を交わした後、男は変な独り言をつぶやく。なんなんだこいつは? こんだけでかい戦争やってる事もしらずに宇宙に飛び出す馬鹿なんて、聞いたこともないよ……。
って地球だって!? ……よく見てみたら、あっちこっちにコロニーじゃとうていお目にかかれない様な、シダ系の植物がうっそうと覆い茂っている。
まさか……
「ちょ、ちょっと聞いていいかい」
「なんだ」
「さっきまで、あんた宇宙にいたよね」
「ああ。ついさっき地球へ突入した」
めまいがする。あそこから地球までどれだけ離れていると思っているんだ! ついさっき、だって? よくみれば、ボロボロになったガーベラ・テトラの残骸らしきものが赤いヤツの傍らに転がっていた。
どうやらガーベラを抱いて大気圏に突入したらしい。
(ふ。よく生きてたもんだね、あたし……)
いやそれより。もうひとつ、聞かなきゃならない事がある! 星の屑のことだ!
「ねえ、ならコロニーは……あの円筒形の物体は? 地球に落ちようとしていただろ?」
「あのデカイやつか。邪魔だからぶっ壊した」
「……」
めまいの次は何も喋れなくなった。絶句ってやつさね……この男、嘘は言ってない。目をみりゃあ解る……無茶苦茶だ、無茶苦茶すぎる。三号機を吹き飛ばしたかと思ったら、今度はコロニーまで吹き飛ばしただって?
クソ親父共があれだけこだわった星の屑も、こいつの邪魔だからの一言で失敗に終わったわけだ。
だけどそう思ったら、むしょうにあたしは笑いたくなってきた。
「そうかいそうかい……くっくっく……ははは、アッハハハッハハハ!!」
ざまあみろ。
大儀だのなんだのと、薄っぺらい正義なんか掲げやがって。それが邪魔だの一言で全部潰えた! これほど愉快なことが他にあるもんか!
一人笑いまくるあたしをじろりと睨むと、男がひとりごちた。
「なんだ急に笑いだしやがって、気味の悪ぃヤツだ」
気味悪いのはあんただよ……そう突っ込みたいのをぐっと抑えて、あたしは笑いながらもこいつに名を尋ねてみる。これだけ無茶苦茶な事をやる男の名、ぜひ知っておきたい。
それによく見りゃあ、凶悪だけど、なかなかいい男じゃないか。それに、あたしより背が高い。
「ハハハハ……いや、悪いねぇ。ねぇあんた、もし良けりゃ名前を教えておくれよ。あたしはシーマ・ガラハウってのさ。どうせ知らないだろうけどね」
「流竜馬だ」
「そうかい、あんた竜馬っていうのかい……」
そこまで言いかけた時だった。
「誰だ!! そこで何をしている!?」
「何っ!」
茂みの奥から、軍服を来た人間がライフルを構えてこちらへやって来る。あの服は連邦のものだ……って、ちょっと待ちなよ、なんでこんなジャングルみたいな所に連邦兵がいるんだ!
だけど、あたしが反応して動く前に竜馬のやつはすでに駆け出していた。ちょ、ちょっとお待ちよ!
「うるせぇ!」
「ぐわっ!!」
竜馬は兵士がライフルのトリガーを引く前に、とび蹴りを食らわせた。強烈な一撃。屈強なはずの兵士がさっきの三号機みたいに吹っ飛ばされる……やっぱりあたしの勘は正しかった。
あの赤いヤツが凄いだけじゃない、竜馬も常識ハズレの戦闘力がある!
その竜馬があたしの方に駆け戻ってくる。
「成り行きでおめえを助けちまったが、どうもこの辺りもキナ臭え。俺はもう行くが、おめえはどうする?」
あたしは成り行きで助けられたのか……いや、確かにそれ以外に助かる理由も思い浮かばないが。
「どうするって言ったって、あんたが連邦兵を蹴り飛ばした以上はあたしも敵だって認識されるに決まってるじゃないかい!」
あたしに助かるための選択肢はひとつしかない。連邦との取引が失敗した以上は、いまさらノコノコと出て行ったって撃ち殺されるのがオチさ。
するとそこまで考えた時、あたしは今いる場所の見当がついてきた。
うっそう茂る植物ばかりのジャングルみたいな場所に、ゲリラでなく正規の連邦兵が巡回していた……そんな場所は、地球がいかに広いっていったって、一箇所しかない。
「あんたと行くよ……今気づいたけど、あんたとんでもない所に着陸したね!? ここ、ジャブローじゃないか!! よく迎撃されずに……いや気づかれずに来れたもんだよ!」
「ごちゃごちゃうるせえ! もうおめえのマシンは使えねえぞ。助かりてぇならとっととゲッターに乗れ!」
竜馬が赤いヤツを指差す。
「げ……ゲタ?」
「そうだ、ゲッターロボだ!」
あの、赤いヤツはゲッターロボっていうのか。なんてネーミングなのさ……いや、今はそんな事どうでもいい。あのメカがとんでもない戦力なのはよく解る! あれに乗りゃあ、助かるかもしれない!!
「の、乗るってどこに乗りゃ良いんだい!」
「よじ登ってジャガー号に……胴体の白い部分のハッチを開けて乗れ。レバーを引っ張りゃ開く!」
なんて乗り方だ……だけど、四の五のいっちゃいられない。ここはジャブローだ、ぐずぐずしてたら連邦軍に囲まれてお陀仏さね。あたしは重く感じる体に鞭を入れてゲッターロボをよじ登る。
竜馬はといえば……飛び跳ねる様にして、一番高い頭の部分に達していた。コクピットが複数あるのか? いや、そんなことより人間じゃないよ、ありゃ……バッタか!? くそ!
あたしはなんとかよじ登りきると、でかでかと設置してあるレバーを引っ張った。竜馬の言葉通り、煙が噴出してコクピットハッチが開け放たれる。そして、無我夢中でその中に飛び込む。
中は、一昔前の宇宙船のようなコクピットになっていた。だけど、操縦系統は全然違う。変な操縦レバーみたいなものが、数本とスイッチがある以外なにもない。こんなんで操縦できるってのかい!?
もう、訳がわからなくなってきた。だけど、竜馬はそんなあたしなんざ気にも留めずゲッターロボを発進させる。
「ゲッターーーッウイングッッ!!」
……なんで発進するのに叫ぶんだ? あたしの当然の疑問は、しかし飛び上がったゲッターの強烈な加速に打ち消される事になる。
「うっ……うぁっ!? な……な、んだぃ、こ……りゃあ!!」
あたしの体がシートに張りつけになる。加速のGであたしの体が悲鳴をあげ、呼吸をする事すら辛くなる。
脳みそがどうにかなりそうだ! ガーベラ・テトラの加速が凄いとか、そんな次元じゃない。こいつは……このマシンは、乗り手の事なんか全く考えちゃいない!
ただ、加速だけを追い求めて暴力的な動きを実現する、そんなマシンだ。
とんでもないものに乗り込んじまったよ……これを作ったヤツがだれだか知らないけど、そいつは絶対にキチガイだ!! 畜生、一難去ってまた一難だ!
派手に大空へ舞い上がったゲッターに、さすがに感づいたのか連邦軍の戦闘機がゲッターに向かってくる。
「シーマぁ! 操縦桿をきっちり握ってな! いくぜ、ゲッタートマホゥーークッ!!」
コクピットの中からはよく解らないが、どうやら武器を持ったらしい。
ザクのヒートホークみたいなもんか……だけど、威力が桁違いだ。ゲッターはまるでUFOみたいな動きで空を飛び回って、近づいてくる戦闘機を次から次へと斬り捨てていく。
あたしはそのたびに走る衝撃に耐えようとしたが、根性や精神力とかでどうにかなる様なヤワなもんじゃない。容赦のないGに、あたしは何度もゲロをぶちまけてしまう。
朦朧とする意識の中で、おもわず竜馬に抗議をする。
「げぼっ……畜生、女が乗ってんだからも少し丁寧に扱っておくれ ぶぼっ……よっ!」
「おっ。まだ意識があんのか、やるじゃねえか! さあ、こんな所からはとっととずらかろうぜ!」
しかし、あたしの抗議なんかまったく相手にしない竜馬は、目の前の戦闘機真っ二つにすると、方向からして極東の方へ進路を向けてゲッターを旋回、加速させる。
誰も追いついてこられない。化け物だ……ゲッターも、竜馬も。
またしても薄れ行く意識の中で、あたしはこんな人間とばかり付き合わなければならない己が運命を呪っていた……。
・
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次に目を覚ました時、あたしはベッドの上に寝かされていた。周りを見回してみたら、木でできた小屋みたいな場所……竜馬の姿は見えない。……衣服にも乱れはない。
二回とも、何もされなかったか……野獣の様な男に見えるが、あれでなかなか紳士的なのか、それとも女に興味がないタイプか。
それはそうとして、喧騒が一切消えて完全な孤独になった空間に、あたしはなんだか不安に駆られてベッドを飛び起き、外に出て見る。
すると……
「うわっ」
私の目の前に、いや、眼下に深い雲海が広がっていた。山々の間にたちこめて、下界の様子などなにもわからない。夕日に照らされたそれは、ただ幻想的で荘厳な美しさをたたえていた……思わず、なにもかも忘れて魅入ってしまう。
……ここは、どこかの山頂か何かか? ふと、意識が向いた方を見てみると、あいつがいた。雲海を見下ろしてなにか物思いに耽っているようだ。風にたなびくマフラーがやけに似合う。
なんだ……戦争狂かと思ったら、あんな風情もできるんじゃないか。
ずっと非人間的な状況に置かされていたあたしは、そんなことで少しばかり緊張の糸を解くと、ふとして竜馬もあたしに気づく。
「やっと起きたか」
竜馬はあたしに背を向けたまま言った。もう少し労ってくれても良さそうなもんだがねぇ……それにしても、あたしはこの男に興味が沸いた。
こいつの事をもうちょっと深く知ってみたい。あたしはそれを尋ねてみることにした。
「あ、ああ……ねえ、竜馬。ちょいと聞かせておくれよ……あんた誰だい? ゲッターなんて化け物をあたしは知らない。
あんたみたいな馬鹿げた強さの男も見たことがない。まさか宇宙人だっていうんじゃないだろうね」
「俺をインベーダーと一緒にすんな! 俺は流竜馬だ!」
「お、怒りなさんなよ。悪気はないんだからさ……地球人なのは間違いなさそうだね。じゃあ、あんたの目的は? 嫌なら喋らなくていいよ」
「……俺はゲッターの見せた未来と戦ってるだけだ」
ゲッターの見せた、未来? なんだそりゃ、あのマシンには占い機能でも付いてるってのか? ……ってこんな男が、占いなんかに耳を傾けるわけはないよねぇ。あたしはけっこう好きだけど。
「ゲッターの見せた未来ってなにさ」
「俺はこいつに乗って未来へ行った。だが、その未来を俺は認めねぇ。だから戦うだけだ」
は? 未来へって……タイムマシンなのかこれは!? 妄想とか幻覚を見てた可能性はあるかもしれないけど、どこまで常識を破れば気がすむんだ、こいつら!!
「ちょ、ちょっと待っておくれ。話が飛びすぎでわかんないよ……もう少し、じっくり話してくれないかい」
「うるせぇな。おめえにこれ以上話しても理解できねえよ」
「そんな事を言わないでおくれよ。何も知らないけどさ、あんたがゲッターに導かれたんだとしたら、あたしを助けたのも、なにか意味があるんじゃないかい? あたしも知る必要があると思うんだけどね」
「……」
よし、話術ならあたしの方が一枚上手みたいだね。もっとも聞いてくれれば、だけど……。
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・
その後、竜馬は存外色々な事を話してくれた。一番最初、カラテであちこちの道場を潰して回っていた時、ほとんど拉致同然にゲッターのパイロットにされた事。
ハ虫人類って化け物と人類の種族の生存をかけた戦争の事、まさしく書いて字のごとく「鬼」との戦いの事、スペースノイドとかとは違う、正真正銘の外宇宙からの侵略者との戦争の事……
そして、その果てに人類を取り込んだゲッターと自分が、宇宙を支配する未来を見た事。竜馬は意外なまでに饒舌に自分のことを喋ってくれた。
どの話も宇宙世紀の時代じゃ、おとぎ話としてしか捉えられないようなものばかりだったが、あたしにはこいつが嘘を言っているようには見えない。
というよりも、この竜馬って男がそんな冗談を考えるほどの独創性がある様には到底、思えない。
「……」
あたしはじっと、竜馬の顔を見る。……今まであたしは、世に受けた仕打ちに対する恨みを糧に生きてきた。あたしなりの生存競争のつもりだった。
自分が経験してきた事だって生半可な事じゃあないはずだ……人間扱いなんて、された事もなかった。
だけど、目の前のこの男の経験は。竜馬が辿ってきた記憶の味と、これから立ち向かわなくてはならない未来の出来事の重みは何だ。
終わらない戦いを続け、果てには自分が人類の支配者となり、さらなる脅威と戦うために同族をも殺し合わさせて吸収する。
死ぬこともできず永遠の戦いを繰り広げるなんて未来を知っていながら、それでも竜馬は戦うというのだ。
こいつは……いや、この人は、あたしなんかとは格が違う。
G3ガスであたしはコロニーの住民を虐殺した。知らずだったとはいえ、当時のあたしはひどいショックを受けた。今だって思いだそうとすれば、吐き気がする。
それからは汚れ仕事こそが天職と自分を騙して、戦い抗う事から逃げ続けたぐらいにね。
だけど竜馬はその何千倍も過酷な運命に、果敢に戦いを挑んでいる。下らない大儀だの正義だのの為じゃない。ましてや他人の為でもない。ただ、生きるという意味だけに向かって竜馬は戦い続けるんだ、それが永遠だとしても。
一度だけゲッターから逃げようとした事もあったらしいが……あたしだったら、そんな経験をすれば二度と立ち直れないだろう。
凄いよ……流竜馬、あんたって人は。
あたしは竜馬の人としての強さに驚愕すると同時に、強く惹かれはじめている事を感じた。今まで出会ってきた男にも、いくらか悪くないヤツらはいたが、衝撃を受けるほどの人間はいなかった。
だけど彼の生き様、覚悟、肉体がまとまって出来た強さは半端じゃない。彼ならたとえこの世の全てを敵に回したとしても、諦めることなどないだろう。
その様を想像して、体に震えが走る。
きっと、こんなにも強く、そして生きる事に純粋な人間は二人といやしない。はん、格好つけすぎだっての……。
だから、あたしは少しばかり、竜馬の疲れを癒してやりたくなった。いくら強いっていったってそれだけ長く休みもせずに戦いつづけてりゃ心身ともに疲れるはず……いや。
もしかしたら、この男に疲れなんてものはないかもしれない、あるのはあたしの自己満足だけ。だけどそれでもいいさ、あたしゃ惚れたんだよ!
そう思ってからは、あたしの行動は素早かった。後ろを向いている彼の大きな背中に擦り寄ってやる。ぼろぼろのコートは汚くて臭かったが、のぼせちまったオツムには、それすらも彼を引き立たせる道具にしか感じない。
「おい……」
何をしてる、といわんばかりに抑揚の低い声と共に頭だけをこちらに振り向かせる竜馬。何度見ても凶悪なツラだね……だけど、今ならそんな顔も最高の男の顔に見える。
さっきまでは話術じゃあたしの方が一枚上手だなんて思っていたが、竜馬にはそんなもの通用しやしないだろう。
論理的にじゃなくて、本能的に見破られちまう様な気がする。だからあたしは素直に答えることにした。
「あんたの話を聞いてたら疲れちまったよ。ちょっと……休ませてくれないかね。何、あんたにも悪い思いはさせないからさ……」
「俺は遠慮しねえぞ」
ふ、朴念仁じゃないみたいだね。あっちの趣味だったらどうしようかと思ったよ。
「いいよ……。あんたほどの男だったら、まんざらでもないさね」
・
・
・
竜馬を連れ添って山小屋の中へ戻ると、あのロングコートを脱がせてやる。
さすがにこれを着られたままだと、邪魔でしょうがないからねぇ。だけど中の服も真っ黒で、色気もそっけもあったもんじゃない。この人の性格がよくわかる。
「まあ楽にしとくれよ」
竜馬をベッドの方に導くと、あたしも上着を脱いで、その隣にもたれ掛かるようにして座る。
しかし、いい体だねぇ……こんだけ分厚い服の上からでもわかるよ。屈強だったあたしの部下たちも彼に比べりゃひよっ子に思える。
あたしは竜馬に軽く微笑みかけると、両腕を彼の右腕にからませ顔を近づけて言う。
「あんたも、もうちょっと寄っておくれよ」
キスの誘い。竜馬はしばらく怖い顔のままでいたが、ふっと一息ついたかと思うと、私の方に体を回してきてぐいっと押し倒す。ロマンティックなキスをするつもりなんて無いみたいで、そのままあたしの唇を奪った。
あたしはそれに抗わず、彼が求めてくるままにされる。また、時にはあたしが望むままに、お互いの唇を貪りあう。さあて……楽しい時間の始まりだ。
しばらくキスを楽しむと唇をゆっくり離す。そしてベッドの上でぐるんと回ると、今度はあたしが上になる。
竜馬には微笑みかけたまま、左腕をその股間にやって、服の上からモノをやんわりとマッサージしてやる。するとぴくんと反応する、彼のモノ。
「ふっふふ、さすがに大きいねぇ……」
「あたりめえだ」
ったく自信家め……まあ、あたしも人の事はいえないか。袋と竿の半ばあたりを中心に、全体をゆっくりと揉むようにしてマッサージを続けると、すぐに血液が満たされてさらに大きくなっていくのを感じる。
「さて、もう良いかねぇ?」
そう言って、あたしは竜馬のズボンに手をかける。ベルトの封印を解いてチャックを下ろすと、ブリーフごと一気に下の方にずり下げてやる。
すると、ぶるんとデカイのがあたしの目の前に現れた。鼻にむわんと男の臭いが染み付く。あんまり洗ってないね……しかし、ふふふ……たまんないねえ、この香り。
「こりゃあ、掃除してやらにゃならないねぇ……ふふ、汚れ役はこのシーマ様にまかせな」
にやりと微笑むと、竜馬のでかいモノをずるずると飲み込んでいく。っく、ほんとにでかいねこりゃ……ちょいとばかしオーバーサイズのモノをあたしの口いっぱいに含むと、そのままゆっくりとストロークを開始する。
緩急をつけて、じゅるじゅると吸い上げる。たまにちゅぽんと口から出すと、ベロで鈴口の方を攻めてやり、また口に含んで愛撫する。順番を変えたり速度を変えたりしながら、じわじわと竜馬の大事な所を攻め立ててやる。
たぶん、こんな人だから女と寝る事なんてほとんど無いだろう。戦いの連続で、呑気に寝技を楽しんでる暇もないから、溜まる一方なはずさ。それが証拠に、少し愛撫を続けてやったらもうピクピクしてきた。こりゃあ相当かもね……。
「っふふ、もうイッちまうのかい? いいさ、どばっと出しな。全部うけとめてあげるよぉ……」
「く……」
妖しく誘いかけてやると、さすがの竜馬も我慢できなくなる。顔を歪ませながらウッと呻いて、あたしの口の中で溜め込んだ精液を一気に噴出した。
うっ、すごい、量が半端じゃないよこれ……あたしもあたしで、次々と注がれる生暖かくて苦い液を飲み干していく。
「ぷはぁ」
ずいぶんと長く感じた射精が終わると、まだビクビクと余韻を残しているモノからゆっくりと口を離していく。
離す瞬間に口をすぼめて舐め取ってやったつもりだったが、それでも残ったのがつーっと糸を引いて滴り落ちる。まだモノはいきり立ったままだ……最後に先っちょにキスをしてやる。
「ふっふっふ……見たとこ、あたしとそう変わんない歳に見えるけど元気だねぇ」
「へっ、そう簡単にゃへばらねえよ。さて、今度は俺の番だぜ」
竜馬はそう言うと、あたしの服に手をかける。あの性格だから破られるかと思ったけど、案外ここでも紳士に脱がせてくれる。ああ見えて結構、優しいんだねぇ。ちょいとばかり嬉しくなる。
そうしてすっかり丸裸にされるあたし。年齢なりに、ぜい肉も出来た体が露わになる……今更、生娘みたいに恥らったりゃしないが歳を重ねたくないとは思う。
竜馬の方もだいぶ気分がのってきたみたいで、今度はあたしを下に敷くと、胸にごつくてでかい手を伸ばしてくる。
スタイルにゃまだまだ自信があるからねぇ、たとえ竜馬だろうと、男ならこの体に欲情しないはずはない。
あの竜馬を、そこだけでも手玉に取れると思うと面白くて仕方ない。普段は、スケベ親父の胸への視線とかが付きまとってうざいったらありゃしないけど。
ちょっと乱暴に胸をマッサージする竜馬。だけど痛くはない、ほどよい痺れがあたしに官能を味わわせてくれる。意外とうまいじゃないかい……。
「うぅん……んんっ」
つい、声が出てしまう。まあここなら誰に聞かれる事もないし、大声あげても構やしない。
竜馬はしばらく胸の感触を楽しんだ後、太い腕であたしを抱きすくめると、また唇を奪う。今度はあたしも負けじ竜馬を抱きすくめてやる……ええい、服が邪魔だねぇ!
「ち……ちょいとお待ち! あたしだけ丸裸なのはずるいよ、あんたもひん剥いてやるっ」
「お、おいっ」
そういって竜馬をどんと押すと、無理やり彼の衣服を剥いで行く。なんか、あたしの方が余裕がないみたいだよ……。息も荒い。畜生、これじゃ恋する生娘だ。
ぱっぱと服を脱がすと、竜馬もまた生まれたままの姿になる。……ひゃあ、想像してたのよりはるかに逞しいね。あたしはひょろっとした男なんか嫌なんだ。
こういう、男の強さを全身で感じさせてくれるようなのが好きだ。そのあたり竜馬は満点に近いねぇ。ああ……もう、なんか、ゾクゾクしてきたよ……!
「ふ、ふ……いいねぇ、いいよ。さすがあたしが見込んだ男だ」
「見込んでくれって頼んだ覚えなんか無いぜ」
「うっさいねぇ、ぶつよ?」
「おお、怖え」
この期に及んでへらず口をきく竜馬の唇を塞ぐ。ここまできたら、きっといつもあんたがやってる様に、本能に任せて突き抜けりゃいいのさ!
「さあて竜馬、ちょいと早いけどあたしはもう準備できてるよ。そのでかいのをブチこんでおくれよ……」
「ああ……」
仰向けになると、浅ましく股を開いて誘う。竜馬の方も準備は万端なようで、すでに我慢汁の溢れているモノを抑え付けて、あたしの方へ屈んで来る。そうそう、そのまま来ておくれ……ひとつになろうじゃないかい。
ゆっくりと、竜馬が近づいてくる……。
「うぅっ」
「あ、あぁぁ……ッ!」
お互いに潤滑油は十分、ちょっとキツかったが、にゅるんと竜馬のモノを飲み込む。久しぶりの充足感さねぇ……ふふふふ。
ほんの少しの硬直時間を経て竜馬が腰を前後し始める。前後するたび、でかい上に開いたカサがあたしの内壁をかきむしる。移動するたびに電撃を食らったかの様な痺れがあたしの全身を走り抜ける……!
いよいよ我慢できなくなったあたしは、一回突かれるたびに、あられもなく嬌声を上げまくる。
「あぅ、ああっ、ぅひぃっ」
呻く声と、嬌声が入り混じる中、にちゃにちゃと粘液が混ざる音を立てながら雄と雌がよがり合う。こうなったらもう、後は最後の一瞬に向かってまっしぐらさ。お互いに抱き合ったまま、ただひたすらに快楽を貪りあう。
突いて、引いて、突いて、引いて、突いて、引いて……延々と昔のレシプロエンジンみたいな運動を続ける。もちろん、その回転数は快楽の上昇と共にどんどん上がっていく。
竜馬の息が時間が経つにつれて荒くなっていく。あたしの喘ぎ声も、それと同じくして甲高くなる。そうして最後にはオーバーフローして中にいやらしい液をぶちまけるのさ。
あたしはよだれを垂らしたままの口でそれを竜馬に懇願する。
「あっ、あんっ、うっ、り……竜馬ぁ」
「な……んだっ」
「い、イクときゃ中でさ……だ、出しとくれっ……」
「本気……か?」
「アァッ本気だともさ。あんたが……いなけりゃ、無かった……あんっ。……命さ」
そこまで喋ったら、もう会話はなかった。濁流の様に押し寄せる官能の波に飲み込まれながら、あたし達はほぼ同時にイキ合う。
全身が痙攣し、そして体内に熱い液体がびゅくびゅくと注がれてくるのを感じながらエクスタシーを味わう。
頭が痺れちまうよぉ……!
「う、うぅっ……」
中で締め付けられながら、弾丸を撃ち尽くした竜馬があたしの上へ倒れこんでくる。ちょっと……重いけど、彼の匂いがあたしの嗅覚を支配する。匂いに酔っちまいそうだ。ふふふ……悪くないねぇ。
そしてお互いに息を切らして、絶頂の余韻に浸りあう。
「ふ、ふふふ……気持ちよかったよ……」
「ああ……俺もだ」
そうして、しばらくあたしと竜馬は裸のまま小さいベッドの中で横になっていたが、ふと竜馬が何かに気づいた様に起き出して、身支度を始めた。
なんだい、終わったらもうそれかい? 風情がないねぇ……と思ったが、その表情を見て下らない考えを打ち消す。
「竜馬……? どうかしたかい」
さっきまでの酔いっぷりをどこかに吹き飛ばし、竜馬の目が鋭くなる。そしてあたしの方を向いて、
「シーマ……服を着ろ。急げ」
と、短くいった。
「え、ええ?」
「早くしろ!」
ええい、なんだってんだい。だけど、この男の野生の勘が鋭いのは承知している。
あたしはそのまま従って脱ぎ捨てた服を着始める。あっちこっちに付いた粘液が邪魔だけど、なんか急いだ方がいいみたいだし、この際我慢してやるさ!
あたしが着替え終わる頃には、竜馬は外に飛び出して分離状態で置いてあったゲッターの赤い……イーグル号って竜馬はいってたね。それに乗り込んでいた。
あたしも白いやつ……ジャガー号だったか。それに駆けていく。
「竜馬!」
「敵がくるぜシーマ!」
「は、風情が無い奴らだねぇ!」
まあ、あれだけ派手にジャブローで暴れたんだ。どれだけ逃げても、血眼になって探すよねぇ。そりゃあ……。あたしも急いでジャガー号に乗り込む。
自動操縦でも良かったが、少し竜馬に教えてもらったのと、何度か自動で動かした操縦系統の記憶をたよりに手動で発進させる。
……よし、うまくいったよ! ふん、伊達に海賊をやっちゃいないのさ。強烈な加速を伴って三機のゲットマシンが発進する。ったく、滑走も要らないってんだから恐れ入るよ……そして竜馬が叫ぶ。
「チェーーーーンジ! ゲッタァーーーッワンッ!!」
モニターの合体ガイドに合わせてゲットマシンを操れば、衝突するみたいな合体を経て、三機の戦闘機がゲッターロボに変形する。まったくもって意味不明なシステムだ。
だけど……慣れてくりゃぁなかなかどうして、スリルのあるマシンだ。悪くないねぇ。
見れば、爆撃機が遠くの方にいた。ありゃ連邦のフライ・マンタだね……ゲッターはそっちの方に凄い勢いで飛んでいくと、トマホークを取り出して放り投げる。
回転が加わったトマホークは、次々とフライ・マンタを破壊すると、まるでブーメランみたいにこっちに戻ってくる。戻ってくる様な形状、してないんだけどね……もう原理を追求するのはやめた。
少し慣れて余裕もできたあたしは、竜馬に叫ぶ。なに、邪魔にはならない。あの程度の敵は竜馬なら目ぇつむってても倒すだろうさ。
「ねぇ、竜馬ァ!」
「なんだぁ!」
「子供の名前決めといておくれ!」
その叫びで一瞬、ゲッターが高度を落としたがすぐに持ち直す。
「……拓馬だ! おい、もう余計な事いうんじゃねえぞ!」
「あたしはあんたに付いていく事にしたよ。嫌っていったって付いていくさねッ」
「勝手にしやがれ! いくぜ、ゲッターッビィーーームッ!!」
竜馬は、ゲッター線には意思があると言っていた。……どうやら、あたしもゲッター線の意思とやらに見込まれちまったのかもしれないねぇ。そうでなきゃ、あの場にどうして竜馬が突然現れたのか説明できない。
だけど一度は落としたこの命、どうせならでかい物に掛けてみたいね。
どこまで付いていけるか解らないけど、あたしも竜馬とゲッターの行く末を見届ける事にしよう……。
「竜馬、モビルスーツが来たよ!」
「なんだそりゃあ?」
「ああもう! あたしに代わりな、あいつらにゃキッチリ落とし前をつけないとねぇ!」
「ほう、もう操縦を覚えたか? ならやってみな! オープン・ゲェット!」
「よし来た、いくよ! チェンジ! ゲッターーツゥッ!!」
END
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