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名無しさん×淀君

作者:6‐659氏
備考1:名無しさん×淀君
備考2:スーパーファミコン用RPG「ライブ・ア・ライブ」より。「名無しさん=このスレを見ている人、ということでお願いします」(作者氏)



自宅で「悪の女とH第6期目」というスレを見ていた筈の俺は、気がつくとライブ・ア・ライブの世界に入ってしまっていた。
一体何が起こったかのか分からない……よく二次創作SSで有る、現実から転移ってやつか?
でも何で俺が? 俺は現実の人間で、二次創作の登場人物じゃない…
それ以前にこんな状況だというのに冷静でいられる自分もおかしい…
今俺が居る場所は幕末編の淀君の部屋だ。
何故かご都合主義的に最強レベルになっていた俺は、とりあえず淀君を取り囲んでいた忍者を瞬殺。
いきなり襲い掛かって来たので仕方がないし、理不尽な出来事に対する八つ当たりとも言える…
とにかく現状の確認だ。
目の前に居る女は間違いなく幕末編の中ボスの一人…淀君。
ということは、本来おぼろ丸が通るべき道…イベントを、俺が通ってしまった訳か…
じゃあ、この後……

「ああ……危うきところを助けていただき、なんとお礼を申してよいか……」
「あ、いや……男は女を守るものだからな」
やっぱり……分かりきっていたが淀君に誘惑された。
考え込んでいる俺に、近づいてくる彼女。
「たくましい 御方……どうじゃ、妾と契らぬかえ?」
当然したいに決まっているが、そこは耐える。
ライブ・ア・ライブは何度もプレイしているので、彼女の正体も知っている…
「いや、それは…」
「これほど頼んでも、妾と結ばれるのは嫌かえ?」
嫌な訳がないだろ、個人的には今すぐにでも押し倒したい。
こんな美人とお近づきになるチャンスなど二度と無いだろう。
しかし、それが俺の魂と…命と引き替えなのはゴメンだ。

「もちろん結ばれたいとは、思ってる」
「おお! やはり妾が恋しいかえ?」
見え透いた芝居をしている淀君に、俺は言い放つ。
「ただし、あんたが俺の魂を喰わないのならな!」
ビシッと指を突きつけて言う俺に、淀君は一度俯いた後、明らかに空気を変えて笑いながら…本性を現した。
青白い炎に包まれた後に現れたのは、ゆったりと脱ぎかけの着物を纏い、大胆に胸をさらけ出している地に着くほどの長い黒髪の
美しく妖艶な姿の淀君。
「フ……アハハハハ!! 一目で妾の正体を見破るとは、大した男よなあ……しかし、愚かな殿方…素直に妾の申し出を………受け入れておれば良いものを!!」
そう言って淀君は俺に襲い掛かってきた……



淀君との戦いはあっさりと俺が勝った。いくら人間よりも遙かに強い妖怪である淀君とはいえ最強レベルの俺の敵ではない。
俺は傷つき横たわる淀君に近づくと、手持ちの回復アイテムを使い彼女の傷を治す。
傷が治り、完全回復した彼女は、戸惑いながら俺を見て口を開く。
「……何故じゃ、何故妾にとどめを刺さぬ? 何故妾を助けた?」
「そうだなぁ、何となく……かな」
特に考えが有った訳じゃない、ただ妖怪って言っても見た目人間と変わらない女を殺すのはな…
良くも悪くも現代日本人の俺には出来ない…
「……理解出来ぬ…妾はそなたを殺そうとしたのじゃぞ…それにまた妾がそなたに襲い掛かるとは思わぬのかえ?」
「まあ、来るなら来いってところだな。 その時は、また返り討ちにしてやるよ」
実際負ける訳がない。
さて、とりあえず色々と見て回るか。幸い今の俺なら危険は無いだろうし。
元の世界に帰る方法も探さないと…
そう考えて部屋を出ようとすると、淀君に呼び止められた。
「…待つのじゃ」
「何だよ、早速リベンジか?」
一応身構える俺に、淀君は首を横に振る。
「…違う」
「じゃあ何だよ?」
淀君は顔を上げ、俺を見つめて言った。
「そなたと…契りを交わしたいのじゃ」
何だ? 振り出しに戻るのか? ゲームの展開では良くあるな。
特定のイベントにおいて先に進むためには、倒さなければいけない敵がいたり。
選択肢が二つ有っても一方しか選べず、もう一方を選ぶと延々選択肢がループするっていう…
ただ、いくらイベント通り事が起こるといってもこれは現実でもあるし、淀君の台詞でこんなのは無かったし…
「俺の魂喰おうったって、そうはいかないぞ」
「そなたの魂を喰ろうたりはせぬ。……妾はただそなたと契りたいのじゃ…嫌かえ?」
そ、それなら、嫌な訳がない! こんな美人とのエッチを断るなんて有り得ないだろ!
というか、何でいきなりそんなことを言い出すんだ?


「い、嫌じゃないけど…何でまた」
「妾は、そなたの様な強い殿方は見たことがない…それに妾が妖と知った上で助けるなどと…」
そりゃあ見たこと無いだろうな。何と言っても俺は本来この世界には存在しない奴だしな。
だけど、強いって言うのは違う気がする。
今の俺の状態は、ゲーム改造機でも使ったような状態なのだから…
もっとも、そのことを彼女に言うつもりはない。
好意的に見てくれているのに、わざわざよけいなことを言う必要はないだろうし…
「それ故に、妾はそなたと結ばれたいのじゃ。………受け入れてもらえるかえ?」
それに加えて妖怪だからといって差別をしない俺が珍しいと。
「もちろんだ。魂を喰ったりしないのならば……俺もあんたと結ばれたい」
「そなたも妾が恋しいかえ?」
「…そうなるな」
「そうかえ!………それでは…妾と婚姻の契りを交わしてくれるのじゃな?」
いきなり結婚かよッ!……けど、まあ…いいか…さすがにこの世界で一人は嫌だしな。
元の世界に戻る方法は探すけど、最悪ライブ・ア・ライブの世界に永住の可能性も考えたら、とても一人では生きていけない。
淀君は長い黒髪に着物っていう現代ではほぼ絶滅した大和撫子な美人だし…それに俺、悪の女が好きだからな。
断る理由を探す方が難しい。
「ああ、俺で良かったら」
「おお!……それでは 妾とそなたは今宵…この時より夫婦じゃ……では、契りを交わそうぞ……」
あ、でもちょっとまて!
「淀君、その…俺…初めてなんだ……。だから下手かもしれない……」
正直、全く自信がない……女とした事は疎か、付き合った事もないのだから…
それに対して、魂を喰らうためにおそらくだが、男と何度も寝た事が有る彼女は経験豊富だろう。
彼女を満足させてやれる自身なんて俺にはない。
「そうなのかえ?…では妾が初めてという事じゃな………初いやつじゃ……」
そんなことは気にしていないのか、淀君は俺の体を抱き締めてキスをする。
「ん…くちゅ……んむ…ふぅッ…んっ…」
初めてのキスは俺が想像していたような唇を重ね合わせるようなものではなく、舌を絡ませて口の中を蹂躙されるという深い口付け。
気持ち良い……キスがこんなに気持ち良いとは……よし、俺も…。
「んんッ…」
今度は俺の方からも舌を絡ませていく。淀君の口の中に舌を入れ、さっき彼女にされたように彼女の口の中を蹂躙する。
しばらくの間そうして舌を絡ませ合う…



「ん……ふうっ………のう、そなた初めてというのは真かえ?……妾は…このような気持ちの良い接吻は初めてじゃ…妾に虚偽を申すと承知せぬぞ?」
唇を離して訝しげに、しかし頬を紅く染めて言う淀君。
どうやら俺が精一杯返したキスは相当上手くできたみたいだ。
しかし妖艶な女がこんな表情をすると、ギャップも有るせいか可愛い…
{美女=美しい}の、俺の定義が{美女=可愛い}に変えられそうだ。
「本当だって……」
でも疑われるのは嫌なので俺は彼女に信じてくれと言う。
「ホホホホッ、冗談じゃ。そなたは妾の夫…信用しておる」
……何だか手玉に取られそうだな…
「真に初いやつじゃ……」
そのまま俺は布団に倒されてしまう。淀君は俺を見下ろしている。
「…どうすればいいんだ?」
何もかもが初めてで分からない。
「何もせずともよい…そなたは妾にその身を委ねておればそれで良いのじゃ…」
言って、俺の着ている服を次々と剥ぎ取っていく彼女。
合意の上とはいえ、何だか逆レイプをされているみたいだ。
「それにしても…そなた、変わった着物を着ておるのう」
俺が着ている服は、普通のパジャマだ。
夜遅くに「悪の女とH第6期目」を見ていたから…終わったらすぐに寝るつもりだった。
別に珍しくもなんともない筈だが、この時代には無い物でもある。
外国の方は知らないが、日本には無いだろう。
「これはアメリカ…メリケンで手に入れた就寝時に着る服だ」
「ほう、メリケンで。……そなたメリケンに行ったことが有るのじゃな?」
「まあな」
異世界とか未来の服というよりは、余程説得力が有る。
というより、俺が異世界から来たとか言っても信用されないと思うし。
けど…俺のこと信用してるとも言ってるしな……時期を見て言うか…




そうこう考えている間に、素っ裸にされてしまった。
「うむ、ずいぶんと元気じゃな」
彼女の目は俺の下半身に向いている。恥ずかしい…
我が愚息は、既にカチカチに固まっているのだ。
これからされることを思えば、無理もないのだが…
「あ、あんまり見るなよ…恥ずかしいだろ…」
「ホホホ…恥じらうそなたを見るのも、妻たる妾の特権じゃ」
完全に遊ばれているような気がする…
「じゃが、それほどに恥ずかしいと言うのならば…」
言い掛けて、中途半端に纏っている脱ぎかけの着物を脱いでいく淀君。
シュルシュルと鳴る衣擦れの音が艶めかしくてエロい…
完全に服を脱ぎ捨てた彼女の裸体で、一番目を引いたのは、やはり胸。大きい…

「早々に妾の中へ迎え入れるとしようぞ…」
淀君は俺の腰の上に跨ると、ゆっくりと腰を下ろしてくる。
先端が彼女の膣口に触れたとき、思わず声を上げてしまう。
「あッ…」
俺の声を聴いた彼女は、一度俺を見てから言う。
「そなたが喘いでどうする…喘ぐのは妾じゃ」
無理言うなッ! 俺だって情けないとは思うけど、初めてなんだからそれぐらい見逃せッ!!
と、心の中で抗議するが、彼女の言う通りなので何も言えない…
「…では」
言うと、彼女は腰を下ろし、俺の肉棒が彼女の膣内へと咥え込まれていく。
ずぶずぶずぶ…
「…ッ…ッ!」
「あ…あぁぁ……わ、かる…かえ…?」
さっきみたいに情けない声を出さないように歯を食い縛って堪えている俺に
囁くように言う淀君。
「そなたの…一物が…妾の中に……入って…おる…のじゃぞ…」
完全に腰を落とした彼女。
言われなくてもわかっている…温かい…とても温かく湿っている彼女の膣内に、俺の肉棒が全て入っていることは…
「妾が……心地良くしてしんぜる故…そなたは、じっと、しておれ…」
淀君は俺の状態がわかっているみたいだ。
正直なところ…油断するとやばい。
「あ、はぁッ…あふッ…あぁッ…」
彼女は腰を上下させて、俺の肉棒をしごいていく。
じゅぶ、じゅぶ、じゅぶ、と水音が耳に届いてくる。
こんなに気持ちが良いなんて、予想外も良い所だ。
ぬるぬるとした膣壁と擦れ合うたびに射精感が込み上げてきて、それを必死で我慢する。
「うッ…淀君ッ…」
「な、なん、じゃ、?」
「俺、そんなに、持たない、」
言ってて情けなくなる…けど淀君は
「我慢、せずとも、良い、」
と言ってくれる。その言葉に甘えたくなるものの、もう少し堪えて、彼女の腰の動きに合わせ力を振り絞って突き上げる。
「ああ…ッ!」
その突き上げに背を仰け反らせて喘ぐ淀君。
一方的に快楽を与えられるのではなく、俺も彼女に快楽を与えてあげたい…
彼女の喘ぎを聴いて俺はそんなことを考える。
だが現実には厳しい。今の俺には無理だ。
「あッ、あッ、あぅッ、んんッ、」
「よ、淀君ッ、俺、もう…ッ」
俺の肉棒を優しく包み込んでくれている彼女の膣…もっとここに居たい…
そう思っても、限界が来ているのでどうすることもできない…
「わ、妾の、中に、出すのじゃッ、」
そう言って彼女が腰を下ろして来たと同時に、俺は腰を思いっ切り突き上げる。
ビュクッ ビュク ビュクビュク…
同時にイった俺は、迷わず淀君の子宮の中に精液を注ぎ込んだ…
「あ…あぁぁ…ああぁぁっ…! …中に…そなたの……熱いものが…入ってきておる…」


暫くして、射精が収まったことを確認した彼女は、繋がったまま俺の体の上に
自分の体を倒してきた。
視界に映る彼女の地に着くほどの長い黒髪…
そういえば、彼女の技で「えんようの黒かみ」っていうのが有ったな。
黒くて艶やかな髪が、燭台の蝋燭の明かりに照らされてとても綺麗だ。
触ってみたい…
俺はそっと彼女の髪に触れて、そのまま梳くように撫でる。
指を擦り抜けていく髪は細く滑らかで、とても触り心地の良い感触だ。
「どうしたのじゃ…? 妾の髪など触って…」
「いや、淀君の髪が凄く綺麗だから…つい…」
「髪は女の命じゃ…手入れは欠かさぬ」
確かにそう言うな。にしてもこんな地に着くほど長いと、その手入れも大変だろうな…
「大変じゃないのか? ここまで長いと…」
「もう、何百年もの間この長さじゃ…慣れればどうと言うこともない」
そんなものなのかな…

汗と体液を拭き取って、お互いに服を着た後、淀君は疑問に思っていたことを口にした。
「そういえば…そなたは何をしに此処へ来たのじゃ…?」
「へ…? あ、えっと、それは、」
「初めは妖怪退治にでも来たのかとも思うたが…妾と夫婦の契りを交わしたことを思えばそうではないのじゃろう?」
いきなりの質問に何と答えたら良いのか分からない。
正直に言えば何もすることは無い。
だが、「別に何も」と言って、それで彼女が納得するとは思えない。
「何を隠しておる? 正直に申せ。妾はそなたの妻なのじゃぞ。隠し事をするでない」
しびれを切らした彼女は、催促してくる。
時期を見て言おうと考えていたけど…下手な言い逃れはできそうもない…
ここは、正直に話そう…
「……実は…」
俺は洗いざらい話した。
(ネットって言っても分からないだろうから)本を読んでいて、気がついたら淀君の部屋に居たこと。
此処とは違う、異世界から来たことなど。
さすがに、「この世界はゲームの世界」とは言わない。
それに、俺が此処にいる時点で、もうゲームの世界とは言えない気がする。
俺と淀君が結婚なんて本来有り得ないのだから…
「異世界…とな」
「信じてくれなくてもいい…」
「否、妾はそなたを信じると申した筈。 荒唐無稽な話ではあるが、妾は信じよう」



彼女が信じてくれたことは、本気で嬉しかった。
普通ならば信じないだろう…
で、帰る方法は有るのか? と聞かれたので、予想の範囲でだが答える。
それは…尾手院王を倒すこと…
「何じゃとッ!? 院王様を…ッ!?」
尾手院王…幕末編のボスだ。
こいつを倒すことで幕末編は終了する。
だから可能性が有るとすれば、院王を倒すことぐらいしかないだろう…
「い、院王様は妾の主君じゃ! 如何にそなたと言えどそれは許さぬッ!」
だろうな…実際、おぼろ丸がこの部屋とは違う別ルートを通っても、「院王様の元へは行かせぬよ」と言って待ち伏せしている程
尾手院王に対する忠誠心は厚い。
だが、俺もここは引き下がれない。
「淀君…お前は夫よりも、主君を取るのか?」
「そ、それは、」
かなり卑怯な言い方だけど、仕方がない。
悩む彼女に、俺は駄目押しとばかりに抱き締めて言う。
「…淀君…俺と一緒に来てくれるんだろ…?」


彼女は少し間を開けてから、同じように背中に腕を回して俺の体を抱き締めてくれた。
「……そなたは…そなたは卑怯じゃ、卑怯者じゃ…」
「そんなことはわかってる…でも俺は…ん…ッ」
話の途中で彼女は俺の唇に口づけてきた。
「ん、んんッ、」
そんなに長いキスじゃなかったけど…うん、気持ちいい…
「…ん…………言わずとも…よい……妾も、そなたと共に行こう」



こうして俺と淀君は、尾手院王のところに向かったのだが、いざ来てみると最上階の院王の部屋には誰もいなかった。
「奇妙じゃな…。院王はいつも此処に居るのじゃが…」
この部屋に居るとの確信を持っていた淀君は、顎に手を当てて考え込む。
しかし、俺には此処に居ない理由に思い当たるところが有る。
「淀君、この上だッ」
「この上じゃと? 此処は最上階故、この上には屋根しか…」
「その屋根の上だよ!」
そう、おぼろ丸と囚われの男…こと、坂本竜馬の二人が別ルートを通って、先に院王のところに来ていた場合
この部屋での戦闘の後、院王は屋根の上に上る。
それを追っておぼろ丸と竜馬も屋根に上って、そこで{ガマ蛇変化}に変身した院王と最後の闘いを繰り広げるのだ。


俺たちは急ぎ、屋根の上に上ったが…もう既に戦闘は終わっていた。

「えいかげんにしちょけや……おんしゃあ一人の欲のために、人であることもやめてしまうような奴に…・この日の本が治められてたまるかよ…・!!」
屋根の上には、おぼろ丸と坂本竜馬…二人しかいない。尾手院王は屋根から落ちて死んだのだろう。
「お? おんしら誰じゃ?」
こちらに気づいた竜馬が話しかけてきた。
「ああ、あんたらと同じく尾手院王を倒しに来たんだが…遅かったみたいだな」
彼は俺たちを怪しむ所か、朗らかに笑みを浮かべて言葉を返してきた。
「はははッ、そうかそうか…偉い別嬪さん連れとるきに、ワシぁてっきり秘め事の後に、夜明けのお天道様でも拝みに来たのかと思うたぜよ!」
「あはは…」
思わず乾いた笑いが出てしまう。
半分当たってる…竜馬って鋭いんだな…
「そなたらが院王を倒したのかえ?」
状況から察してはいるようだけど、一応、竜馬たちに聞く淀君。
「おお、あんバカたれはワシらが成敗したぜよ」
「……そうかえ…」
にこやかに言う竜馬に淀君は複雑そうな表情を浮かべている。
無理もないか…いくら裏切ったとはいえ、先程まで主君と仰いでいたのだから…
そんな彼女に話し掛けようとしたときだった。



ドーンッ! 

もの凄い音が海の方から聞こえてきた。
その音は続け様にドーンドーンと鳴り響いている。
「おッ! おお、おお、ずいぶんとハデにやりゆうにゃあ……そこまでせんでもワシは無事やに」
「むう、そういえば拙者、まだ名を聞いていなかった…」
今まで一言も喋らなかったおぼろ丸が、大砲に対する竜馬の反応に口を開く。
「あ? ワシかよ…? なんな知っちゅうと思うちょったぜよ…」
よく考えたら俺は竜馬のことを知っていても、おぼろ丸は知らないんだったな。
隣に居る淀君も知らないかも…
「ワシは、日本人……坂本竜馬じゃ! あの黒船はワシの仲間じゃきに!」
竜馬は両手を広げて自己紹介した後に、大砲を撃っている船を指差して言った。
彼の正体に驚いているおぼろ丸。
隣を見ると淀君は平静だ。知ってたのか…
「なあ、淀君は知ってたのか? 竜馬さんの正体…」
「妾は院王の口より聴かされておった……もっとも、あのような黒船までもを従えておるとは思わなんだが…」

漸く止んだ砲声……そして、海を見ていた竜馬が語り始める。
「今は誰が日の本を治めるがからぁて…そんなちんまいことで争いゆう場合じゃないぜよ」
確かにそうだろうと思う。
時代は少しづつだが、確実に歩みを進めているのだから…
そんな小さなことに拘っていては、日本は時代に取り残されてしまう。
それは歴史が証明している…
「ちんまいにゃ…ほんまにちんまいぜよ、人間は……」
だからこそ、竜馬のような人間は時代を開こうと、追いつこうと駆け抜けたのだろう…
日本を愛して居るからこそ…
「けんど、ワシらぁはどうしたち人間じゃあき…それは変えれん…」
人間はそんな簡単に交われるものでもなければ、変わらないものだ。
永い時間を掛けて漸く変わって行くものなのだから…
「けんど、これからの日の本はどれっぱぁでも変えれると……ワシは信じちゅうぜよ!」
そこまで話すと、竜馬はおぼろ丸に歩み寄る。
「けんどもったいないのにゃあ。おんしのような奴が忍びをやりゆうがは……どうな?ワシらぁとお天道様の下で一緒にやらんかよ?」
「むう…」
おぼろ丸は暫し俯いて考え込む。
「どうじゃ?」
再度竜馬が聞いたとき、おぼろ丸は顔を上げると彼に握手を求めて手を差し出した。
「………面白い」
「おお、そうか!」
おぼろ丸の手を握って破顔する竜馬、そして今度は俺たちの方に向いて想定外のことを言ってきた。
「おんしらも共にどうじゃ? ワシらぁと一緒にやらんか?」




いきなり話を振られた俺は、どう答えて良いのか分からない…
「わ、妾たちもかえ?」
「そうじゃ!」
「しかし、妾は……妾は妖なのじゃぞ…」
返事ができない俺の横で、淀君と竜馬が遣り取りをしている。
「そうかぁ、人間離れしとる別嬪さんじゃあ思うとったら、妖かぁ……けんど、妖ぃ言うても同じ日本人じゃき!」
淀君が妖怪だということを、全く気にしていない竜馬は、人間だろうと妖怪だろうと同じ日本人だと笑う。
院王については、自分一人の欲のために行動していたから、たとえ人間をやめていなかったとしても受け入れられなかっただろう…
「………少し、待ってはくれぬか? 夫にも聞かぬと…」
竜馬の話を聴いた淀君は、そう言って俺を見てくる。
「ほぉ! おんしらぁ夫婦かぁ!」
「そうなのじゃ……のう、そなたの考えを聴かせてはくれぬか? 妾はそなたに従う」
俺の…意見……………尾手院王を倒しても…未だ何も起こらない。
俺が倒したんじゃなくて、おぼろ丸たちが倒したんだけど、それは同じことだろう…
じゃあ……元の世界には………帰れない…ってことなのか…?
永住するのなら、一人では生きていけない…いや、どこでもそうだ。
人は一人では生きていけないのだから…
「俺は…」
だから俺は……永住する覚悟を…決める。
おぼろ丸や竜馬、そして…
「俺も…竜馬さんたちと共に…歩きたい!」
淀君と共に、この世界で生きていく。
「では、妾も夫と二人、そなたたちと共に行こう」
「おお それじゃあワシらぁは今日から、共に歩く仲間じゃきに!」
俺と淀君、竜馬とおぼろ丸、四人でしっかりと握手を交わす。
「そいたら今夜は、あの黒船の連中と祝いの宴じゃあ!」


夜が白み始めて、海の向こうから光が差してきた。
「……夜が明けるか……この日の本も、いつかは素晴らしい夜明けを迎えられると……ワシは信じちゅうぜよ……!!」



淀君と手を繋いで、ゆっくりと登ってくる朝日を見ながらこれからのことを考えている…そのときだった。
明るくなり始めていた空が急に暗くなって、時間が止まったかのように世界が静寂に包まれる…いや、事実止まっている…
そして、全てを憎悪しているかのような、体の芯から震え上がるほどの恐怖を覚える声が、どこからともなく響き渡ってきた…

「来たれよ……人の道に目覚めし者……人間に未だ幻想を抱く者よ……誘おう……真実を知らしめんがために……」

これはっ! ……魔王オディオ!!
ふと、おぼろ丸を見ると体が光に包まれていた。
忘れていた! 魔王オディオのことをッ!
俺の知っている通りに事が動くのならば…七つの時代、世界から…七人が召喚される筈…その一人がおぼろ丸だ。
考えている間にも、おぼろ丸の体は薄れていき、やがて消えてしまった。
頼むぞおぼろ丸、俺には何も出来ないが…彼の無事、そして勝利を祈ろう。

そのときだ……本来ない筈の言葉が聞こえてきた……もちろん相手は…魔王オディオ。
「異世界より訪れし観測者よ……」
俺の…事か…?
「この世界はお前の居る場所ではない……」

オディオの言葉が終わると、おぼろ丸がそうだったように俺の体も光だした。
くそッ、何でだ?…少しづつ薄れていく俺の体。
オディオは世界の異物である俺を弾き出そうって言うのか!?
つまり………元の世界に帰れる…
……これは…喜ぶべき、ことなんだよな…?
だけどそれは……彼女との別れを意味する…

俺は手を繋いでいる淀君を見る。
時間が、世界が止まっているので全く反応を示していない。
「……ごめん…俺は」
俺が帰る場所は、あの世界…
一緒に来てくれって言っておいて勝手だけど…
「俺は…帰るよ…」
彼女とは急展開だったから、まだ恋という程の感情を抱いていなかったのは幸いだ。
もし、本気で恋愛感情を抱いていたら…とても辛かっただろう…
でも、俺は忘れない…彼女との一時を…
ほんの僅かな時だったけど…俺、楽しかった。
そして、ゆっくりと俺の体が消えていく…
最後にもう一度淀君を見てお別れの言葉を告げる。
「……さようなら……淀君…」
意識が薄れていく…まるで夢から覚めるかのように…
そうして…俺の体は消えていった……








……妾も一緒じゃ……





エピローグ

ん…? あれ? 此処は……
気がつくと俺は元の自分の部屋に居た。目の前にはPCが有る。
いつの間にか電源が切れていた。
時計の時刻を見ると、30分程しか時間が経っていなかった。
間違いなくそれ以上の時間、あの世界に居た筈なのに…
「……夢…だったのか…」
だとすれば、とてつもなくリアルな夢だったな。
「そういえば…」
ふと、思い出した。{明晰夢}と呼ばれる夢が有るということを。
何でもその夢は現実と全く変わらないらしく、怪我をすれば痛みを感じ、食べ物を食べれば味がする。
水をかぶれば本当に冷たいらしい…
しかも明晰夢を見ているときにそれが夢だと気がつけば、夢を完全にコントロールすることが出来ると聴いたことが有る。
つまり…俺の場合、夢だと気づかずに明晰夢を見ていたのか……

考えていても仕方がない……リアルすぎる夢を見たせいか、30分しか寝ていないにも関わらず目がさえて眠れそうもない。
とりあえず、夜食のラーメンでも食べようかと近くのコンビニに買いに行って、家に戻ると
早速カップラーメンに湯を注いで待つ。
三分経ってふたを開け、いただきますを言って食べ始めたときだった。

「良い匂いがするのう…」
隣の部屋から声がした。
「一人で食事とは…非道いではないか、妾にも食べさせてはくれぬかえ?」
聞き覚えの有る声だ。いや、さっきまで聴いていた声…
俺は後ろを振り返らずにその誰かに聞いた。
「な、何で此処に、」
「申した筈…妾とそなたは……ずっと一緒じゃ」
その声は、さも当然とばかりに答えるのだった……

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