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4-281

作者:4代目スレ281氏
備考1:戦隊ヒーロー×女幹部
備考2:

(1)

瞼に刺す痛みを感じて眼をこじ開けると、目映い光に網膜が焼き付き、視界が利かなくなった。慌
てて目を閉じるのだが、苦悶で意識が冴えお陰で半分寝ていたような身体の感覚が徐々に目覚めて
くる。
一体全体なんなのだ。
呻いて身じろぎをしようにも四肢ががっちりと押さえ込まれていて、まず動けない。
「あ、目が覚めた?」
鈴を転がすが如き澄んだ高い声に、正体を確かめるべくゆっくりと瞼を開く。薄目を明けた段階で
既に目映い光が自分にさしかかっているのだが視界の隅は比較的暗い。そちらに視線を向けるよう
にして徐々に慣らすと、そこがやけに白色の灯りが照らす室内で、自分の上には煌々と一際明るい
ライトが照らされていることに気付いた。何と目を凝らせば天井には鏡があって自分の姿が確認で
きる。
素っ裸の上、両手首と腕の付け根がベルトのようなもので台の上に固定されているではないか。
「おはよ」
俺の視界を遮って、いきなり鬼が顔を出す。
「ヒィィィ!」
長く細い角に紅くつり上がった口から牙を出しやぶにらみの眼をした女の鬼だ。余りに突然の、般
若の登場に俺は再び気絶してもおかしくない恐怖を感じた。
だがみっともない悲鳴にきゃらきゃらと軽やかな笑い声がして、般若はその顔に手を添えて面を取
り外してみせた。黒髪の少女が無邪気な笑顔を浮かべて覗きこんでいる。
ばくばくと脈打つ心臓が、僅かに心拍数を落とす。
小さな顔に大きな眼、ちょんとつまんだ小さな鼻、びっくりするほどの美少女である。なんだ…お
面だったのか。質が悪い冗談だ。
しかし果たして俺にこんな、推定年齢十六、七の美少女の知り合いが居ただろうか。
だらけた大学生生活を振り返って見ても否、である。
そもそも何で俺はこんなところにいるのか。
記憶を辿り眼を覚ます前の前、つまり意識が途切れる直前の出来事を思い返す。




(2)

「食らえ。必殺、レッドカードフラーッシュ!」
言語明瞭意味不明の必殺技…そう、俺は或る地域の平和を守る私設防衛軍の直接戦闘部隊リーダー
だ。某三流大文系の二年生でアパートの外廊下に置いた洗濯機で洗濯をしているところ、通りがか
った近所の住人に「おはようございます」と頭を下げたことが原因で、この防衛軍にスカウトされ
た。今時珍しい礼儀正しさを持っているから。というだけの理由で。時給は1000円。危険手当無し。
しかし、勤務中は施設でのまかない飯付がついてくる。その魅力で思わず入隊した俺…。全て貧乏
が悪い。
己の迂闊さを呪いながら日々どこからともなく現れる世界征服をもくろむ敵を相手に、仲間と手を
取り合って戦い地域の平和を守ってきた。
そして先日敵主力と目される部隊の破壊活動と遭遇、交戦状態に陥った。
雑魚戦闘員はピンクとイエローに、海洋生物のような触手をうねうねとさせた造形の怪人はブラッ
クとブルーに任せ、俺はその後ろで指示をしていた隊長らしき鬼の面をつけた黒衣の敵と鍔迫り合
いをしていた。
鬼といっても般若面のうえ、自分よりも遙かに小柄な体躯の相手は呆気にとられるほど非力で、内
心は「え、まじ?俺隊長相手に楽勝じゃねぇ?!」と小躍りしたものだが甘くはなかった。
般若が振り回す大刀と俺の特殊合金ソードで押し合いへし合い、相手が力任せに押し切ろうとした
所を跳ね返し、ボディががら空きの隙をついて必殺技を浴びせてとどめを刺さんとする。
殺った。
そう確信した瞬間、俺は何か分厚い壁にぶつかったような衝撃を受けて、しりもちをつくことにな
る。
何が起こったか分からずに呆然としていた俺の前に、女が仁王だちしていた。
ピンヒールのロングブーツで長いあんよの殆どを多い、鋭角に切れ上がったハイレッグと深く胸の
刳れた露出度高いボディスーツ、長いケープを肩に掛けたプレイメイツも裸足で逃げ出す超グラマ
ラスパツキンジンガイ美女。但し、唖然とするほど背が高い。なんというか、地べたに腰を下ろし
た俺からすると雲を突かんばかりの迫力がある。辛うじてその背丈が人間の常識内に収まっている
と判別をつくのが、周囲背景との調和だ。
彼女の背後で、般若が無様に腰を抜かしてへたり込んでいるのが伺える。
「…う…うわーん、ママぁっ!」
ママ?!ママとな!
しかもめっちゃ可愛い女の子の声だったぞ?!
どこに逃げ遅れた母子がいるのか。視線を巡らせたが、俺の視界には戦いを繰り広げている敵兵士
と仲間の姿しか見えない。
「どこで油を売っているのかと思えばっ!お遣い一つ出来ないのか!」
美女は京劇に似たどぎつい化粧に彩られた眦をつりあげて、俺に向かって怒鳴った。
ええ?俺ですか?!っつかあんた誰。
「だって、イソギッチャンが今なら邪魔者がいないからって…」
するすると黒衣の般若が美女の脇に寄ってくる。それを、美女は俺から眼を離さないまま、頭部を
甲斐繰り撫でた。ママって…あんたのことですかい!そして般若…お前…!
俺の胸に走った衝撃をどう説明すれば理解して貰えるだろうか。
「部下のせいにするんじゃありません!そろそろお昼にするから帰るわよ!」
「はーいっ!みんな帰るよ~」
般若の脳天気な呼びかけに、なんと戦闘員と怪人がまたぞろ異空間ホールへと飲まれていくではな
いか。…こんなアホっぽい奴らを相手に俺たちは戦っていたのか。ある種の敗北感と後悔に飲まれ
そうになっていた俺だったが、仲間の鋭い声に正気に返った。
「くそ、逃がすかぁ!」
「誰が逃げるか」
武器を構え駆け寄ってくる仲間に、鷹揚に振り返った女は五指から蒼い光線を発生させ彼らに直撃
させる。高出力レーザーらしいそれは仲間達を焼き周囲のものを破裂させる。足下のアスファルト
が深く抉られ粉塵が舞った。
そのまま般若の肩を抱いてホールへと足を向けた女は、だが途中で歩みをとめて俺に向き直る。構
えた指先から再びレーザーの蒼い筋が伸び…。




(3)

次に眼を覚ますとこの有様だったわけだ。
ここは一体…病院か?…と思いたいところだが普通の病院は人の手足を拘束したりはしないだろう。
例え目の前の美少女がピンクのナース服を着ていても。っつーか声からしてお前、あの般若か。あ
の怖いお面の下にこんな美少女が居たとはお天道様もご存知有るまい。ということは、ここは自動
的に…。
「敵のアジトか!」
「だいせいかーいっ!」
いえーいっと何が嬉しいのか、緊張感の欠片もないノリノリでの回答、有り難う…俺はもう死にた
いよ。
しかも、首を回して確認できる限り周辺にはどんな用途に使うのか分からない装置が設置され、向
こうでは数人の人影が蠢いてガシャガシャと何かを弄っている。
「…厭な予感がする…」
「どんなぁ?」
「…なんとなく」
脳天気な問いにうっかり答えてしまったが、ナースな美少女は俺の目の前にあるファイルを差し出
してきた。
「どれがいーい?」
どれといわれても、お嬢ちゃん?
なんですか、その…今まで俺たちが倒してきた怪人と五十歩百歩のデザインをした不気味なグラフ
ィックの数々は。こいつらと戦えということだろうか。
一抹の不安を押し殺し、それだけは勘弁してくれと願って現実逃避の予想を立てる俺の心境などま
るで無視したこれまた明るい声色で彼女は否定する。動きに添ってさらりと肩を流れた、癖のある
黒髪が愛嬌だ。
「どんな怪人になりたい?」
…やっぱりな。
そう来ると思ったよ。
この手術室みたいな部屋からしてな。
「断固、断る!」
「花乃子はねーぇ、うつぼさんとかいいと思うのー」
「ざけんなクソ餓鬼っつか、かのこってだれだ、かのこって!おまえがかのこか!」
「ポルカドットモレイは紫に白い水玉の入ったカラフルな種類でかわいいよ」
「人の話をきけ、かのこーっ!」
会話にならない間抜けなやりとりに俺は早くもうんざりして言葉を失っていた。逃げたくても、特
殊スーツへの変身用ブレスはとっくのとうに取り上げられている。
花乃子は向こうで固まっている医師団らしき連中にファイルを持っていって、嬉々として説明して
いる。このままでは俺は花乃子曰くのポルカドットモレイ型ウツボ怪人に改造されてしまうらしい。
「…な、なあ。花乃子。改造よりもまず俺たちの組織とか聞き出さなくて良いのか?その…お前達
の敵のことをもっと知りたいとか…」
「改造してから聞けばいいだけじゃん」
そりゃごもっともで…。
時間稼ぎもあっさり頓挫してしまい、俺に残された手段は般若心経でも唱えるくらいだ。
俺はこんなアホな敵に捕まって改造され、次に地上に出るときにはかつての仲間に刃を向けなくて
はならないのか。いっそここで自害できたら…でも正直俺は未だ死にたくない。理性と本能の葛藤
に思い悩んでいたその時のことだった。室内にブザーが鳴り響き、扉が開く。


そこには、これこそ真なる敵、俺たちを指先から発するレーザーだけで翻弄した女がいた。
「ママ~」
いそいそと花乃子が駆け寄りしがみついた。女の超爆乳に花乃子の顔がぱふんと埋まる。なんと羨
ましい…。
「まだ遊んでいたの?花乃子。おやつ買ってきたんだけど」
「美味しそう!」
某外資系ドーナツ屋のロゴが入った箱をぶら下げている女は後ろに若い男の戦闘員を従えている。
彼にティーワゴンを押させて優雅なものだ。…で、誰がそこまで行って買ってきたのだろう…。
そして金髪の女が、何故、黒髪の娘のママなのか。問いただしたくもある。勿論、断じて一個人の
好奇心だなどではなく、生きて基地に戻ったときの参考資料としてだ。
「早く改造型を決めて、手術を見学しながらお茶しましょう」
眦を緩めて微笑む彼女は母の慈愛に溢れていたが、台詞は物騒だ。
「いやいやいやそれは断る!」
「捕虜に意見する権利はない」
花乃子に対する女性らしい言葉遣いは、俺に対して冷酷でとりつくしまもない。しかしここで怯ん
では、俺の将来はウツボだ。
「ハーグ協定では捕虜の人権をだな…」
「我々は地球人類ではないのでそんな陸戦協定は無意味だ」
「俺たちの秘密は知りたくないのか!基地とか、変身システムとか」
「全然」
女は首を振った。まさに子の親にしてこの子有り。親子揃ってだめだこりゃ。
「地球人の男は既にサンプルが居るしね」
ちらと女は視線を背後に向ける。執事よろしくワゴンでお茶の用意をしている戦闘員が慎ましく俯
いた。横顔を見るだけでも随分整った顔だ。さぞや地上ではもてていたことだろう。俺たちが戦っ
ている一般の雑魚とは服装が違い、結構凝った作りの衣装だ。それだけでも贔屓されているのが察
せられる。
「…おい花乃子、あいつは?」
既にドーナツに注意が向けられている花乃子にそっと囁くが、花乃子は気遣い虚しく、平然と言い
放った。
「ママの恋人の柚木くんだよ」
「花乃子!」
そのママとやらの白皙に朱が走る。どうやら照れているらしい。その恋人の柚木とやらもだ。二人
揃ってもじもじと身体をくねらせ、そっぽを向いている。なんかぼそぼそとママが言い訳をしてい
るが屁のつっぱりにもならんし、終いにゃ男の影に隠れて恥じ入っている。
彼女居ない歴=年齢の俺には鬱陶しい限りだ。しかし。
…そうか…その手があったか。
だが俺はというと、柚木ほど顔の造作が良いわけでもないし、二匹目の泥鰌になることは期待でき
そうもない。希望は見えた途端に現実に破れる。しかし一縷の望みにかけてみた。
「…花乃子…お前、可愛いな」
「そお?レッドくんもポルカドットモレイになったら可愛いよ」
…やはりといおうか。おべっかは通じなかった。


(4)

万策尽き、かくして俺はサイケでポップなウツボ怪人へと改造され、花乃子のお気に入りとなり、古
巣と相対することとなったのである。
しかし、怪人もそう悪いものではない。この頃はそう思うようになった。…思うことにした。
組織の内情はうすうす分かったし、この組織のボスとやらは花乃子を溺愛する祖父だというのも掴
んだ。…それが、正義の味方に戻れぬ俺にどんな役に立つかはともかくとして。
俺が正義に返り咲けない大きな理由が、その花乃子である。
花乃子は妖精みたいに可愛らしい姿をしておきながらとんだゲテモノ趣味らしく、紫色の体色に白
斑の俺を寝床に引きずり込んでは見かけによらず、ほぼ毎晩激しく求めてくる。さらば独り身人生!
曰く、「花乃子、責任持って可愛がってあげるからね」。俺はペットか。
それにしても奥さん。お宅、うら若き娘にどんな教育をなさって居るんでしょう。
母親の爆乳に比べれば絶望的なまでの貧乳だが、悔しいほど花乃子は床上手だ。一体どこで習った
のか。
「花乃子が正式に幹部になったら、お婿さんにしてあげる」
…その暁には是非、元の姿にして貰いたい。
俺はどっちが奉仕しているか分からないが、欲望の赴くまま腰を突き上げた。
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