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4-57

作者:3代目スレ878氏
備考1:竜馬(ゲッターロボ)×シーマ(ガンダム0083)
備考2:前話(4-10)の後日談

 あれから少し……あたしと竜馬は地球の各地を転々としていた。なんせゲッターは目立つもんで、連邦の追っ手は後を絶たない。もっとも、戦力が違いすぎて敵にもならないんだけどね。
 ほんとに呆れるよ、ゲッターには。何が驚いたってエネルギーが無限だって事だ。なんでも、ゲッター線とかいう宇宙線がエネルギーで常時取り込んでるから、無茶をしない限りエネルギー切れを起こす事はないらしい。

 そんなこんなで、あたしもゲッターには少しずつ慣れてきていた。最初は胃の中の物と言う物を吐くザマだったけどねぇ、なんとかチェンジから戦闘まではこなせるようになった。

 竜馬いわく、ゲッターパイロットのパイロットには合っている、だとさ。嬉しいんだか嬉しくないんだか……。
 いっそジャガー号をかっぱらってやろうか、なんて思ったりもしたが、そんな事した次の日にゃあたしは鬼籍に入ってるだろうから、止めた。ふふふ、竜馬とは喧嘩したくないしねぇ。

 だけど、いくらゲッターが強力たって中の人間は食わなきゃ生きていけない。寝なきゃ活動できない……そういう訳で金が必要だった。
 しかし、とにかくゲッターが目立つせいで昔みたいに海賊行為をするわけにもいかない。仕方がないから、ツテを頼って普通に生活する分だけの物資を手に入れているのさ。
 ちなみに竜馬を放っておくと、ロクな事をしないから(マフィアに殴りこんで物資を奪ってくるとかね……)あたしが女房役に徹して抑えている。

 情けない話だが、汚い仕事の連続で疲れ果てていたあたしには、こんなんでもそこそこに充実した日々に感じていた。不思議と竜馬の溢れ出る様な生命力と接していると元気になれるのだ。大してあたしと年齢も変わらないオッサンのくせに。

 竜馬と生活を共にしていてひとつ嬉しかったのは、ある時ふと、あたしの過去を話してみたらニヤリと笑って「上等だ」って言いいのけた事だ。
 今まで、あたしの過去を知る者に一人だってそんな評価を下したヤツはいない。あるのは侮蔑か媚び、あるいは憐れみだった。

 この男は熱血漢だけど、平和だの愛だの、虫唾が走る様な言葉を吐かないのがいい。生きるか死ぬか、という究極の選択を息をする感覚で実践しなければならない壮絶な世界に身を置いてきた凄みは本物だ。
 そんな人だから、あたしの境遇なんかに同情はしない。その犯した罪には興味すら持たない。だけど、上等だと理解する。そんなビターな感覚が嬉しかった。
 ちなみに竜馬は、なにやらよっぽど気の狂った連中を相手にしてたみたいで、あたしなんかは可愛らしくみえるとも言った。まさか、このあたしが可愛いなんて感想を持たれるたぁ思わなかったよ。くっくっく。
(ハヤトとかサオトメとかシキシマとか、そんな名前が引き合いに出されていた。どんな連中なんだか……)

 ……あたしや竜馬は、もう二度と平穏な生活には戻れない人間だ。死ぬまで戦うのが定められた宿命だからこそ、こうして訪れた束の間の休息の時を十分に享受して、楽しむのだ。
 だけど、それだけに気に掛かるのは次に待つ戦いの時だった。休日明けの出勤に思いを馳せる感覚とでもいえば良いだろうか……そういう堅気なのとは、ちょいとばかり違うのだけれどねぇ。

「ねぇ、あんた」

 今日のねぐらで竜馬の逞しい腕に抱かれながら、あたしは彼に問いかける。

「なんだ?」
「いつまで続けるられるものかね、こういう生活……」

 竜馬は少し、黙りこんでから答えを口にする。

「さあな。だが、ひとつ言える事は、そう長い間ゲッターが俺を休ませちゃくれないって事だ」
「そうかぃ……」

 その言葉に、ちょっとだけ残念になった。彼の顔をじっと見る……その表情はすでに確信めいており、元の世界に戻る時はそう遠くないだろうと言う事実が突きつけられる。

 元の世界……そう、当然というか何というか、竜馬はこの宇宙世紀に生きる人間じゃない。あのゲッターという化け物に、何のためかこの世界に連れてこられてしまったのだ。だがゲッターが本懐を成す場所は、ここじゃないはずだ。

 だから、その用事が済めばゲッターは自分のパイロットである竜馬を連れて、あるべき世界へと帰っていくだろう。
 あたしは竜馬についていくと誓ったが、結局は取り残されるのだ。だってゲッターの世界に、シーマ・ガラハウという人間は在り得ないのだから……それでも、認めるのが嫌でかすかな抵抗を試みる。

「ねぇ、そん時ゃさ」
「ん?」
「そん時ゃあさ……あたしも、連れてってくれるかね。ゲッターは」

 それを聞いて、竜馬は初めてくっくっくと笑った。何がおかしいのさと思ったが、次に彼はあたしの予想を飛び越えた事を言いのけた。

「ゲッターと関わって逃げられた奴ぁ居ない。お前は嫌でも連れて行かれるだろうよ、カッカッカ!」

 唖然とする。鏡を見たら、あたしはきっと豆鉄砲でも食らったハトの様な顔をしているに違いないね。これは胡蝶の夢のようなものだと思った直後の発言だから、なおさらだ。

 ……どうも、あたしの考えを超えて、ゲッターっていうのは傲慢な存在のようだ。普通に考えれば恐ろしい事だと思うのだが、あたしにはプレゼントの様に聞こえる……こんな世界より、竜馬の居る世界の方が性に合いそうだからね。
 そう感じたままの言葉を竜馬へ伝える。

「容赦ないねぇ。でも、ちょいと安心したよ」
「なんでだ」
「あんたと一緒に居た時間を、夢物語で終わらせなくて済みそうだからさ」

 と言うと、

「何もでねえぞ」

 とか言いながら、なんとなく嬉しそうにする。
 いい歳こいて何カッコつけてんだね、このおっさんは。なんだかんだで気が合ったんだ、もっと素直にしたらいいんだよ。

 むかついたんで奴のモノをちょいと強く握って、上下にこすってやる。ここだけは竜馬といっても他の男と同じだからねぇ……ピクピクと反応させてやんの。あたしはいつになく扇情的に、誘いの言葉を彼の耳元で囁く。

「なに言ってんだい、ココはたくさん出るだろう? ふふふ……」
「け、人を乗せんのが上手いヤツだ」
「ほらほら、動くんじゃないよ。握りつぶしちまうよぉ?」

 そういう間にも、モノをしつこく愛撫し続ける。どんどん硬く大きくなっていくのがわかる……何度しても、あの竜馬をこの時だけは自由にできるのが面白くてたまらない。
 その気になりゃ、あたしなんか数秒で捻り殺せるだけの力を持った男が、あたしの手で、あたしの舌で、あたしの体で、獣欲を満たして欲しくてちょっとの間だけ言いなりになるんだからねぇ。くっくっく。

 既に上気する竜馬の顔。これから与えてもらえる快楽に期待してやまない、といったところかね……もっとも鏡を見りゃ今のあたしも同じ顔をしているんだろうけれど。

 あたしは、それまで二人にかかっていた布団をめくりあげると、そのまま竜馬の下半身まで移動する。
 そこにそびえたっているモノにローションをつける代わりに、思い切り舐め回して唾液まみれにしてやると、おもむろに上半身を重ねていき……自分でもかなりのサイズだと思う乳房で、ふわりと竜馬のモノを包んでやる。

「胸の中でイかせてあげるよ……」
「む、うぅっ」

 にちゃにちゃと、いかがわしい音をたてながらあたしの胸がモノをいっぱいに挟みこんで蠢く。竜馬のモノも相当な大きさだったが、あたしも大きさにかけちゃ負けてない。
 不敵な笑みを顔に張り付かせたまま、うめく竜馬をいじめ抜く。どうだいどうだい、あたしの胸でしごかれるのは気持ちいいだろう? 気持ちよくないはずがないよねぇ。

「ねぇ竜馬……どぉさね」
「ああ……たまんねえよ」
「ふふっふっふ。嬉しいねぇ」

 時々、口で先っぽを吸い上げってやったりしてアクセントを加えながら、やわらかい胸の肉で硬い肉の棒を擦りまわす。そうやってあたしは竜馬が根を上げるまで胸の圧力で、そのモノを責め続ける事にした。
 なんとも劣情を催す作業を、なんべんも繰り返す事でゆるやかに鈍っていく思考は、肉欲を貪る事ひとつに集約されていく。

 竜馬もそうだろう。さっきよりいちだんと息を荒くして、凶悪な顔に似つかわしくない恍惚とした表情をうかべる姿は、あたしの胸にその太いモノが刺激される事だけに思考が奪われていっているのを感じる。

 あまり広くない部屋に荒い男女の息が充満すると、床に仰向けに転がる男に覆いかぶさって妖しくあたしは蠢く。
 きっとそれは傍目から見れば、獲物を捕食する肉食獣の姿に見えなくもないだろう……そんな妄想に股間が熱くなるのを感じていると、やがて、胸に走る触覚から彼のモノが熱く脈動し始めるのを感じた。

「んふふ……もう出そうかい? いいよ、あたしの胸ん中でだらしなくぶちまけな……」
「……っ」
「ほら、ほおら、早くだしなよ、竜馬ぁ……いやらしい液であたしを汚しておくれよぉ」

「ぐっ……!」

 あたしの誘いの言葉にのって、とうとう、はちきれんばかりに肥大化したモノから、どろりと精液を噴出させる竜馬。あたしは吹き出る液を手で全て抑え込むと、竜馬のモノとあたしの顔や胸に塗りたくる。
 生臭いニオイが鼻をつくのに、それがやたらとおかしな興奮に変わる。我ながら変態的だと思うけど、なぁに、この男とのセックスならこれぐらいやらないとね……なんて色々理屈つけて自分を正当化してみる。

 そしてそのまま、上半身をずらしていってキスをねだる。精液まみれのままだが、だけど竜馬は気にする事もなくそれに応じてくれる。性格がよく現れるのだろう、実にワイルドだ。 悪く言うと野蛮だ。
 舌を絡めながら、そのまま食べられてしまうのではないかと錯覚するような激しいキスの応酬を経て、今度はあたしが仰向けにされる。

(ふふ、どうやら攻めの時間は終わっちまったかねぇ……もうちょっとやっていたかったけど)

 あたしを見下ろす竜馬。さて、どうしてくれるかと期待していると、またも胸に挟んできた。相当気に入られちまったみたいだねぇ……胸のトンネルを何度も行き来するモノを見ながら、含み笑いを漏らす。

「芸が無いねぇ、同じ所で二度もイクつもりかい? くっくっく……」
「う、うっせえ! ……嫌なら止めとくぜ」
「なんだ、あんたらしくも無い。ほぉら……好きなだけ味わいなよ」

 それだけ言って促すとまた腰を動かし始める竜馬。案外、可愛い所もあるじゃないか……つくづく面白い男だと思いながら、あたしは成すがままにされていく。
 せつない表情で竜馬のモノが行き来する様を追いかける。甘い息を吐きながら、もっとして、とお願いする。
 やがて竜馬がうめくと、第二撃があたしの顔に降りかかってくる。ぱたぱたと落ちる精液を舐めとり、可能な限り妖艶な表情を浮かべて微笑むと、さしもの竜馬もクラクラしていた。
 それを見て、あたしの情欲もまた暗く燃え上がる。

「あぁ……り、竜馬、竜馬……ッッ!」
「し、シーマ……うおおっ!!」

 こうなってしまえば、後はもうたぎる性欲に任せて、いつものように突き抜けるだけだ。ねだるまでもなく、竜馬はまだまだ鎮まらないモノを中へ突っ込んできて、二人は一つになる。
 竜馬はその牙をむき出しにして、獲物をしゃぶり尽くす様に犯す。哀れ肉食獣に喰われる草食獣の様に悶えるあたしは、頭が真っ白になっていくのを感じて、あられもない声を振り撒きながら昇天していくのだった……。







 三機のゲットマシンが空気を切り裂いて飛翔する。

「チェンジ・ゲッター2! いくよ竜馬!」
「おう、蹴散らせ!!」

 あたしのかけ声と共に、ジャガー号、イーグル号、ベアー号の順に一列に並ぶんだまま合体は開始する。推進器の噴射を止めたジャガー号にイーグル号が突っ込み推進器を停止、さらにベアー号が最後尾に突っ込むと手足が一瞬で生える。
 クレイアニメーションの様な動きで、あちこちの形を変えながら変形が完了すると、ゲッター2が大地へ激震を伴って着地する。この間はわずか数秒にすぎなかった。
 そして右腕の超巨大なドリルを回転させながら胸に構えて、目の前の敵を睨みつける。

「……今日の獲物は一味違うねぇ」

 辺りを見回すと、いつもとは違ってゲッターを取り囲む敵は、高性能モビルスーツの大群だった。黒いジムに、ザクもどきや、黒いガンダムまでいる。かなりの投資と見たね、こりゃ。

 このいつもと風情の違う連中の正体は、ティターンズだ。それはデラーズ紛争の後、連邦軍の中に設立された地球出身の人間だけで構成された、ジオン残党を掃討するための特殊部隊だった。
 なんでも相当金回りが良いみたいで、正規の連邦軍部隊を大きく上回る戦力と権力を兼ね備えているらしい。ジオン残党狩りの特殊部隊っていうのは建前で、これは連邦から独立した政治機構といって良いだろうね。

 そのトップに立つのはあのジャミトフ・ハイマン、あたしが裏取引を持ちかけた相手だった。もし作戦が成功していれば、あたしもティターンズに組み込まれるはずだった。
 だから、奴にしてみれば裏切り者のうえ余計な情報を持つあたしを、何が何でも抹殺したいだろうよ。
 だが、地球出身者だけってのは聞いてなかったぞ……ふん、こりゃ連邦に寝返ってても命は無かったかも知れないね。

 これであたしは、ジオンも連邦も両方裏切ったってわけだ。その行き着く先は……

「ふ。あたしには結局ゲッターロボしか無いって事か」

 そのゲッターロボただ一機に対して、囲む敵は数百にも及んでいた。まあ仕方ないね、今まで数え切れないほどの連邦部隊を壊滅に追い込んできたんだ。
 それを見て、竜馬が楽しそうにいう。

「へっ、こんだけ頭数揃えりゃゲッターも倒せるってか」

 確かに、奴らは数にものを言わせて確実にゲッターを仕留める腹積もりなのだろうね。だけど。

「はん、甘く見られたもんだねぇ……行くよ!」

 あたしが動くと奴らは一斉にありったけの砲弾を撃ち込んでくるが、照準を付けた時にやゲッター2はその場にいない。音速で地上を駆け回り、次々と背後を取ると巨大ドリルでコクピットごと突き刺しまくる! 
 このゲッター2に鈍足なモビルスーツごときが付いてこられるもんか。そしてまた一体のジムを背後から突き刺す! 脱出なんて絶対にさせないよ……ふふふ。

 その隙に敵は背中をビームだのキャノンだので狙ってくるが、一瞬で振り向くと今しがた破壊したジムを盾に、そのまま突っ込んで蹴散らす。
 ドリルに刺さったジムを他の一体にぶつけてバランスを崩させると、またコクピットを突き刺してやる。そして今度はドリルごと放り投げてやれば、ボーリングのピンの様にモビルスーツ達がなぎ倒されていく。
 派手に衝突した機体が爆発を起こし、それに巻き込まれた機体から次々と誘爆していく。運良く脱出したパイロットにも容赦などしない、ドリルストームであの世へご案内だ。

 慈悲のない戦い方に、わずかに敵が怯む。だけど怯めば最期、またパイロットごとドリルの餌食になるだけだ。
 あたしは元々冷徹だが、竜馬に影響されたせいか、それともゲッター2がパイロットを過激にさせる様な性格なのか、以前にも増してとにかく手加減なしに殺戮の限りを尽くす。
 いつの間にか、あたしの顔には狂気の笑みが浮かんでいた。

「これがゲッターロボか……! くっくっく……アッハッハッハハハッ!!」
「お前も隼人みてえになってきたなぁ」
「……だからハヤトって誰さ。そいつもゲッター2のパイロットなのかい」
「ああ。人質がいても構わず敵をブチ殺しに行く様なヤツだ」
「あんただってそうだろ!!」

 気が付けば、ムダ口を叩いていられるほどに敵は減少していた。数百機もいた敵機が、もう数えるほどしか残っていなかった。運良く生き残った連中は明らかに怯えている……そりゃあそうだろうねぇ。
 こんな一方的な暴れ方をしたヤツなんて、宇宙世紀にはアムロ・レイかシャア・アズナブルくらいしか居ないよ。戦い方の陰湿さでいえば、それ以上だ。
 これでも恐れないとすれば、そりゃ竜馬みたいに頭のネジが飛んでるヤツだけさね!

 そんな風に構えていたら、かなわないと見て撤退命令でも出したのか、奴らはバーニアを噴かして砲撃しつつ下がっていく。
 あたしは「逃がすかい!」と追撃の構えを見せたが、待てと叫ぶ竜馬にそれは阻まれてしまう。出鼻をくじかれて抗議を申し込むが、しかし彼は聞かずに言った。

「気づかねえのか、やつら面白いプレゼントを用意しやがったぞ……核だ!」
「核だって……!」

 核。その言葉に、あたしはさっと青くなる。南極条約違反がどうのこうのと、今更いうつもりはない。
 だけど、その威力はガトーが証明済みだ。コロニー落としが存在する今、最悪の兵器ではなくても恐ろしい兵器であることに変わりは無い。
 いくらゲッターといっても……

「……ちょいとヤバイんじゃないかい」

 だが、そんなあたしを尻目に竜馬は高らかに笑っていう。

「上等だ。核なんかでゲッターをどうこうできると思うなら、やってみやがれ!! チェンジだシーマ!」
「あ、ああ……わかったよっ!」

 思い出した。竜馬は、初めて会った時にコロニーすらぶっ壊したんだった……なら、今度はそのサマを見せてもらおうじゃないか。
 
 すぐにゲッター1にチェンジすると、大空高く舞い上がり竜馬は上空に向かって突撃していく。ぐんぐん速度が上がり、慣れたと思っていたはずのスピードを超えてさらに加速していく。
 そのGにあたしの体はキリキリと痛み始めるが、歯を食いしばって耐える……。
 しばらく飛ぶと、真上に見えてくる。そうだ、連邦艦隊を殲滅させるほどの威力のある、核を搭載したミサイルだ!! 竜馬はミサイルとすれ違い様に急停止すると、あたしに叫んだ。
 
「ゲッター3にチェンジだ、外すんじゃねえぞ!」
「ゲッター3!? 何考えてんのさ! ああっもう……解ったよ、信じる。信じてやるさね! いくよ、オープン・ゲット!!」

 ゲッター3に飛行能力は無い。チェンジすればあとは重力に従って堕ちるだけだ……一瞬の勝負をしかけるつもりなのだろう。
 あたしは全てを竜馬に任せてゲッター3へのチェンジを敢行する。衝撃が走って合体が完了すると、すぐに重力に引っ張られ始める。
 しかし、それとほぼ同時に竜馬も動く。

「ムサシ、技ぁ借りるぜ。大雪山おろしいぃぃッ!!」

 するとその叫びと共に、ぐわっとフレキシブルアームみたいなゲッター3の腕が伸びていく!
 どんな構造なのか知らないが、とにかくピノキオの鼻よろしく延々と伸びる腕が落下するミサイルをぐるぐる巻きに締め上げると、無理やり上に放り投げた。
 ゲッター3のパワーは凄まじく、ミサイルはまるで跳弾したかのごとき勢いで来た方向へ戻っていく……!

「す、凄いね……」

 って感心している場合じゃない、竜馬が叫んでる!

「ゲッター1だ! もたもたするんじゃねぇ!!」

 その間にも落下速度がみるみる速くなっていく、もう返事の余裕はない。その代わりに、すぐジャガー号をイーグル号に突っ込ませて変形に臨む。
 ゲッター1となり、今度はこっちが跳弾して放り返されたミサイルを追いかけると、必殺の一撃をお見舞いする!

「ゲッターッビィーーームッッ!!」

 竜馬渾身の叫びと共に極太の赤い光はミサイルを包んで瞬く間に崩壊させる……その一瞬の後、核爆発が始まる。離脱し、後ろからくる爆風すら追い風にゲッターが飛ぶ。

「へっ、旧ゲッター版シャインスパークだぜ」

 もう、敵はいないだろう……彼もそれは確信した様で何か言っているが、あたしには解らなかった。勝利の酒に酔うのは良い事ではないが……あたしは少しばかり脱力すると、シートにもたれ掛かって深く息を吸い込んだ。
 先ほどの加速のせいか、あちこちが痛む……くそ。やはり、すぐにゲッターを乗りこなす事などできないって事かね。落胆するが、しかし気取られまいと減らず口を叩いて竜馬にいう。

「やれやれ。あんたといると本当に退屈しないねえ!」
「いずれ、こんなもんじゃ済まなくなるぜ。覚悟しときなシーマ」
「付いていくって言ったさね……逃がしゃしないよ?」

 まだ減らず口を叩くが、しかし今の竜馬の言葉にハッとする。ゲッターは、もしかたしたらあたしを訓練しているんじゃないだろうか。
 別にティターンズとかを操ってる襲わせているわけじゃないだろうけど、この操縦桿を握った時の高揚感は、間違いなくこいつはあたしを戦いに導いている。そう……「戦え」とあたしに囁くのだ。

 竜馬のいうとおり、ゲッターには意思があるのだろうか。もしそれが本当ならゲッターを乗りこなせる様になる頃、きっとあたしはこの世界で神隠しならぬ、ゲッター隠しに逢うだろう。
 彼がベッドの中で言った言葉を思い出す。ゲッターに関わって逃げられた奴はいないって言葉を……その意味を考えていくと、ひとつの結論に達していく。

 ゲッターは貪欲なまでに自分の力を向上させる存在を片っ端から掻っ攫っていく。それなら、ゲッターから見て優れた兵器もエネルギーも無い世界に来る理由があるとすれば、あとは人材しかない。
 竜馬とゲッターがこの世界に来た理由は、たぶん、あたしだ。本当だったらあの場で死んで歴史から姿を消すはずだったこのあたしを助けたのは、シーマという存在を、ゲッターが欲しがったからとしか考えられない。

 正直な事を言えば、そんな抗えない力にどうこうされるぐらいなら死んだ方が良かった。だけど、ゲッターもずるい。あたしがのぼせる様な男を引き連れて来るんだからねぇ……。
 これだけ茹でダコにされたら、嫌なんて言えないに決まってるだろうよ。くそったれめ。

 大空をゲッターロボが翔ぶ。
 ……次の戦いの時が何時かは知らないが、それまでは、またこの身と心を竜馬に捧げよう。それが今、あたしが生きる意味だ。
 そう信じて、あたしは操縦桿を強く握りしめるのだった。


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