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リアリスト・サイバーゲーム ~ blue dragon memory in “oroti” (1)

作者:HP-5000氏
備考1:ヒーロー(現時点でカップリング不明)
備考2:激戦を繰り広げる「四龍」。その前に現れたのは…

俺は子供の頃から、ヒーローが出てくるテレビ番組が大好きだった。
悪の組織を薙ぎ倒し、明日への希望を見い出していくその姿。
ヒーローの熱血漢、クール、頑張り屋、様々な性格も、その役に良く合っていた。
子供ながらに感心したものだ。
だが、俺が現実にそんな組織に入って見ると、そんな生易しいものじゃなかった。
目の前で、仲間が何人も殺されていく、その時俺は始めて気がつく。
“昨日まで見ていた戦友が、明日には屍と化す”
これこそが、本来あるべき戦いの姿なのだ。
そして今日も、俺達は悪の野望を阻止する為、戦いの中に身を投じて行く……。

リアリスト・サイバーゲーム。
blue dragon memory in “oroti”


1∞ ∞ ∞
「うわぁぁぁ! ちくしょぉぉぉぉ!」
「馬鹿野郎! 早まるんじぇねぇ!」
俺の隣で伏せていた青年が、耐え切れなくなった様子で剣を振り翳し、突進して行く。
俺は何とか止めようと大声を上げるが、青年は止まらなかった。
「シャァァァァァァ!」
「う、うわぁぁぁぁぁ!」
飛び出した瞬間、俺達の周りを囲んでいた化け物が、青年に飛び掛るのが見える。
――ザシュン!
「ぎゃぁぁぁかっ・・・」
青年は悲鳴を上げるが、体を怪物の牙で貫かれ、声も無く地面に落ちる。
「くっ、馬鹿野郎・・・もう少しで援軍が来るってのに」
「青龍様、このままでは全滅してしまいます!」
「頭を上げるな! 死にたいのか!」
まったく今日は運が悪い、寄りにもよって、敵の倉庫がこんな場所だとは・・・。
俺達の周りを囲んで動かない、倉庫にひしめいた化け物が見える。
その中心で、俺達はまったく身動きが取れない状態になっていた。
“有機物質生命体ダークワーム”通称ダーム。
Mチップを有機物質組み合わせた、思考を持たない化け物。
その攻撃方法は、動きを察知して、動いた対象に噛みつくというものだ。
俺一人なら、こんなダーム共に負けやしない。だが、今日に限って若い奴らを連れてる。
こいつらを全員を守りながら、戦い抜くのは不可能に近い。
「ううっ・・・」
「まだが・・・早くしてくれ・・・」
血を流し、呻き声を上げる青年を見ながら、俺は歯軋りを立てて待っていた。


2∞ ∞ ∞
カチッ・・・。
「っ! 来た! 全員一斉に飛び掛れぇ!」
ドゴォォォォォォォォォォン!
その音がすると同時に、伏せていた剣士達が一斉に喊声を上げ、ダームに斬り掛かる。
最初の音で、既にダームの半分が消し飛んだからだ。
「うぉぉぉぉぉ!」
バチバチバチバチバチッ!
俺は巨大な剣を振り上げ、青い閃光と共に、それを一気に振り落とす。
「プギャァァァァァ!」
床にひしめいたダーム共が、俺の放つ電撃で吹き飛ばされ、縦に道を作る。
この電撃の柱こそが、俺が“雷神柱の青龍”と呼ばれている由縁だ。
「っ! 黒龍さん!」
裂かれた道の先に立っていた、黒いスーツを着込んだ男を見て、俺は嬉しそうに微笑む。
カチッ・・・。
「油断するな青龍・・・」
「!?」
その右腕に張り付く漆黒の銃は、常人が使えば自分が消し飛ぶ威力を持つ。
ズガァァァァァァン!
「ピギャァァァァァ!」
「なっ・・・」
俺は真横を通り過ぎた弾丸を見ると、空中にいたダームが一瞬で消し飛んだのが見える。
コッ・・・。
「油断するな青龍、あと・・・黒龍“さん”は止めろと何時も言っている筈だな?」
黒龍さんは・・・黒龍はそう言うと、既に俺が振り向いたのとは反対側に立っていた。
「流石ですね黒龍、俺の出番はありませんよ」
俺は反対を振り向き直す。少しだけ目で笑う黒龍の横顔が見える。
漆黒の瞳、その瞳と良く似たものが、俺の足元には広がっている。
暗黒に繋がる扉を思わせる、底が見えない巨大な穴。
これこそ、彼が“暗黒扉の黒龍”と呼ばれる由縁だ。


3∞ ∞ ∞
ガチャン!
「シャァァァァァ!」
「っ!? まだ天井に居やがったのか!」
勝利が確定したかと思ったその時だった。
天井が大きく開き、物凄い数のダームが降って来る。
「うわぁぁぁ!」
「くそ! 退けお前ら! 邪魔だ!」
俺の電撃柱は地面を這う、目の前にいる剣士達が邪魔で、俺は焦る。
「空中からか…全部は無理だな…」
黒龍の弾丸は地面を走る反動弾、空中の敵を一気に叩く事は出来ない。
だが、このままでは皆、頭から牙で串刺しにされる。
――間に合わない。
タンッ・・・その時だった、地面を蹴る音がする。
「空中の敵なら私の出番!」
「!?」
ビュン、と言う風が俺の横を通り過ぎる。
同時に見えるのは、鮮やかな赤色。
キィン・・・ゴォォォォォォォ!
両手に構えたダガーを弾き合わすと、その刀身が、炎の渦で包まれていく。
「うりゃぁぁぁぁ!」
ブンッ、ブンッ、とダガーが前、後ろと振られると、それは炎と共に起きる。
「ギャァァァァァ!」
空中に円を描くように、炎の海が現れる。
その海に飛び込んだダーム共が、一瞬で消し飛ぶ。
その円の中心に、鮮やかな赤い長髪を靡かる、灼熱色の瞳を持った女が見える。
タンッ…と、女が俺の前に着地する。バサッ…と後から長い髪が地面に付くのが見える。
「ふぅ、危なかったわね青りゅ…」
「赤龍!? 何でお前まで来てるんだよ!? 帰れ!」
「なっ、危ないとこ助けたのに! 言う事がそれなの!」
俺は、しゃがんだまま見上げた女を見て、反射的に言っていた。
“紅蓮海の赤龍”
俺は……同い年であるこの女と、かなり仲が悪かった……。


4∞ ∞ ∞
「お礼の一つも言えないなんて最悪よ! 大体ね! 服のセンスもダサダサなのよ!、 
今時、それらしい剣士の服なんて流行らないの! もっとカジュアルにしてよね!、
私達、四龍のセンスを下げてるのは明らかにあんたよ! 青マント男!」
「お前は馬鹿にするけどな! この服に憧れてる部下もいるんだよ!、
大体お前の格好は何だ! 全身真っ赤なだけだろ! 赤いベストに、赤いズボンに、
赤いブーツ! いくら赤龍だからって安直なんだよ! この臍だし女が!」
とまあ、合う度にこんな言い合いをしている程、仲が悪いと言う訳だ…。
「青龍様、赤龍様…俺達はどうすれば?」
すると、その様子に呆れ顔の剣士達が、“早く命令を出してくれ”と言う顔で見ている。
「白魔道部隊到着後、手が空いている者は、怪我人の収容を手伝いなさい」
「残りの奴は、辺りのMチップ回収後、速やかに撤退しろ」
バババババババババババババババッ……。
俺達は急に指揮官の顔になると、同時にペリコプターの音が聞える。
剣士達は白魔道部隊と共に、一斉に作業に入り、あっと言う間に撤退した。
「フゥー・・・青龍、そう喧嘩腰になるな。赤龍もだ、部下に示しが付かなくなるぞ」
「す、すいません黒龍さ…じゃなかった。こ、黒龍…」
煙草の煙を吐き出す黒龍に、赤龍は慣れない様子で切り返す。
つい半年前までは、俺達にとってこの人は、雲の上の存在だっだ。

「お前達二人の実力を見込んで、俺と同等の権限と、青龍赤龍の名をそれぞれ与える」

急に呼び出されて黒龍に言われた時は、俺達二人とも気を失うかと思った。
確かに俺達二人の実力は、ずば抜けて高かった。
対Mモンスター用のシミレーションでは、今までに見た事も無い記録を出した。
だが、歴戦に名を刻んでいるこの人を、呼び捨てにする日が来ると、思う筈も無い。
「黒龍、どう言う事です? 本来四龍が三人も集まるような任務ではない筈です」
だからこそ俺も、部下の演習のつもりで来たのだ。だが、倉庫に入って見ればこの騒ぎ。
しかも、倉庫に入った途端に無線が入り“暫く持ち堪えろ”と言われた。
つまり、最初から駆けつけるつもりだったのだ。
そこまで考えて、俺はその理由を考えると、ある結果が導き出された。
「敵の罠…わざと飛び込ませましたね? 囮ですか?」
「私も気になっていました。私が向った先でも、同じ状態でしたから…」
「二人とも察しが良くて助かるな。赤龍の方だと踏んだが、正解はこっちだったようだ」
ピンッ…と黒龍が空中高く煙草を弾き飛ばす。
「嘘……あれは!」
「あ、あいつは!?」
俺と赤龍は、その煙草が飛んだ先を目線で追うと、次の瞬間声を上げた。
「ふふっ…」
その声がすると、ジュと言う音と共に、空中に投げ出された煙草の火が消える。
流れる黒髪。冷たい笑い。煙草の火を消した、雪にも似た冷たい指先。
それは俺達の遥か上、孤高の場所に現れた。
「ふふふっ……黒龍よ、お前は相変らず食えない男だな?」
「貴様に言われる筋合いは無い……今日こそは仕留める!」
「…………やって見ろ。ゴミ共が……」
ミシミシッ……。
俺達は一斉に構えていた。そして綺麗なそれは、満月を背に姿を現す。
――ウルフウーマン。
涙を持たない怪物が、俺達を静に見下ろしていた…。
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