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ドラゴノーツI・F(3)

作者:XXXR氏
備考1:ジン×ガーネット(「ドラゴノーツ」二次創作)
備考2:(現時点で非エロ)

現在 地球
頭を下げたジン越しに、ジークリンデとガーネットが見合う。ガーネットの
視線は幾分醒めた、相手を値踏みするものだったが、ジークリンデは驚愕に
目を見開き、何事か発しようと、口をわなわなと動かしていた。
「な、な、なななななななななななんでこんな所にこの女がいるのよ! ち
ょっと待ってジン、助っ人ってひょっとしてこの女な訳? やめてよちょっ
と! こいつのせいで私だってアンタだって、アキラも、マキナも……」
「ジークリンデ」
ジンがその言葉を遮る。
「……ちょっと黙っててくれ」
静かにそう言われ、仕方なくジークリンデも事態を静観する事にした。
そんな一連の流れの間にもガーネットは、静かにジンを見つめている。
「何の用だ?」
やがて静かに、ガーネットが言った。
「実は・・・」
ジンは彼女に、今までの経緯を説明し始めた。


火星での一件後、ひっそりと地球に戻った4人は、このマンションで生活を
始めた。最初はそのままずっと過ごす予定だったが、ガーネットの生存を
ISDAが知らない事、そして自分たち三人に追っ手がかかる可能性を考慮した
ギオによって、別行動をとることが提案された。
提案はすぐに採用され、ガーネットだけがここに残り、今まで以上に人との
接触を断って生活する様になった。間もなく彼らの予測は、ISDAによるドラ
ゴン狩りという最悪の形で的中する。
火星でのギオの暴走を目の当たりにしたDプロジェクト上層部は、必要最低限
の個体を残して全てのドラゴンを処分する決定を下した。これに対して、パ
ートナーを奪われる事を拒否したドラゴノーツ隊が脱走。追撃するジルアー
ド軍との間で、激しい武力衝突が展開される。
山小屋暮らしをしていたジン達も、事態に巻き込まれる。捕まったライナ達
を救助しに向かう途中、ギオがいなくなり、帰ってきた時には……彼は「タ
ナトスの後継者」を名乗っていた。

「そして、トアをギオにさらわれた……か。しばらく会わない間に、随分泥
沼ぶりに拍車がかかったみたいだな、ボウヤ。安っぽいテレビドラマみたい
だぞ」
「……からかうなよ」
「今の話を聞いたら、誰だって同じ感想を持つさ。なあ、お前もそう思わな
いか? ジークリンデ・バウムガルド」
「えっ、私?」
突然話題を振られて、ジークリンデは戸惑う。
「ああ。考えてもみろ、若い男女が三人で山ごもりだぞ。一年近くもだ。一
体ナニをしていたんだろうなぁ、ん?」
「……だから、からかうなって」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら嘲るガーネットと、反論するジン。以前にも
一度あった構図である。その時はジークリンデは同席していなかったが、そ
んな彼女でも今の二人の様子には何だか違和感を感じていた。
ジルアード時代のガーネットとは何度か話す機会もあった。彼女にとってガ
ーネットという女性に対するイメージは、第一印象は露出過多の服を着た痴
女であり、二番目は抜け目ない女軍人であり、三番目はサディスティック趣
味の性悪女だった。
しかし今の彼女は、そのどれとも違う。
紫のワイシャツに黒のズボンという出で立ちは、扇情的ではあったが露出過
多と呼ぶほどでもない。抜け目なさは今はすっかりなりを潜めていたし、ジ
ンとの会話に流れる雰囲気は、一見彼を虐めて楽しんでいるようにも見える
が、むしろ気心の知れた長年の連れ合い同士が頭の悪い話題でふざけて盛り
上がっているような……そんな印象だった。
何だろう、違和感と言うよりも……もやもやする。いらいらする、と言って
もいい。

「そんなんじゃない。わかってるだろ?」
「わかってるさ。お前ほどわかり易い男もいない。お前に一年程度で女の体
に手を出すような、そんな度胸は無いな」
そう言って、ガーネットが笑う。心なしか、爽やかな顔をしている気がす
る。
やっぱり、いらいらする。
「乙女思考のヘタレボウヤのくせに、妙なところで度胸を見せる。考えなし
の無鉄砲。それがお前だよ、カミシナ」
ああ、もやもやが止まらない。
「……でもやっぱり、少し間抜けが過ぎるな」

その時、彼女は抜け目ない女軍人の顔を取り戻す。
ガッシャァァァァァアアアアアアアアン!!!
次の瞬間、彼女の背後に見えていたワンルームマンションの窓から、ISDAの
追撃部隊が飛び込んできた。


突然現れた追撃部隊は、すぐに装備した機銃を構え、ジン達へと掃射する。
それにいち早く反応したガーネットは、残り二人を抱えて外へ飛び出した。
勢いよく閉じられた古いドアに、弾丸が当たって耳障りな高音を立てる。そ
の音を尻目に廊下を駆け抜けるガーネットの前には、次々と武装した男達が
現れる。いつもと違いジルアードの兵士も多くいるのは、ガーネットを狙っ
ているためか。
その中の一人が、腰の剣を抜いて斬りつけてくる。とっさにガーネットは、
抱えられていた二人を投げる。不格好に投げ飛ばされた二人だったが、それ
なりに場数を踏んだためか、すぐに立ち上がって攻撃を避け始めた。
一方ガーネットは手の中に剣を顕現させる。形はドラゴン形態の彼女の角
に、つまりは日本刀に近い形状だったが、鍔に当たる部分がまるで手裏剣の
ように、八方に鋭く飛び出していた。
彼女はその刀で斬撃を防御し、そのまま相手を斬りつける。
「! やめろガーネット!」

切り捨てたかと思ったジンがとっさに叫ぶが、相手の男は鈍い音と共に、吹
き飛ばされるに止まった。
「殺すな、だろ? 言われなくともわかっている」
峰打ちであった事に気付いたジンは、ほっと息をつく。それを見たガーネッ
トはくるりとそっぽを向き、
「言っておくが、事後処理が面倒だからやらないだけだ。お前が止めたから
ではない」
と、新たに二、三人をまとめて吹き飛ばしながら、付け足した。
「そんな事より、どーすんのよ! このままじゃアガシオンが来るのも、時
間の問題よ?」
先ほどからハブられぎみのジークリンデが、二人の空気に水を差した。
「とにかく下に戻って、アマデウスと合流して逃げましょう! トレーラー
の荷物はもったいないけど、捨てていくしか……」
「カミシナ!」
ジークリンデの言葉を遮り、ガーネットがジンを呼ぶ。
「コントロールギアはどこだ! どうせ持ってきているだろう」
向かってくる男達を次々と捌きながら、ジンに問いかける。
「表の、トレーラーに、積んである!」
ジンの方も決定的な一撃は無いものの、不格好な投げ技もどきを使って、自
衛程度なら何とか出来ているようだ。
「そうか。しょうがない、成り行きだが……」
そう言うとガーネットはジンの襟首を掴み、
「えっ?」
「お前の頼み、聞いてやるよボウヤっ!」
「ちょっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああっ!!!」
あろう事か敵の一団に向かって、ソフトボールの球のごとく投げ飛ばしてし
まった。
ガーネット相手と思い武器を構えていた一同は、いきなりこちらへ飛んでき
たジンに面食らう。
忘れそうだがここはマンションであり、少ないながら他の住民の目がある。
彼らが公式な活動をしている以上は、後で発砲や抜刀の正当性を主張するた
めにも、ここで人間であるジンやジークリンデに攻撃する訳にはいかないの
だ。
相手の混乱の隙をついたガーネットは、すぐさまジークリンデを抱えて跳躍
し、空中でジンを追い抜く。
「舌を噛むなよ、お嬢ちゃんっ!」
そしてそのまま空中で一回転し、刀を振るう。
ブゥンッ!!!
ドラゴンの全力によって振るわれた刀は、その風圧のみで一団を見事に吹き
飛ばした。

「今の内だ、急ぐぞ!」
さながらモーゼが海を割った時のように現れた一本道を、ジークリンデを抱
えたままのガーネットと、ジンが走る。
ドォォォォォォォォオオオオオオオオンッ!!!
向こうからも衝撃波を放ち、人波をかき分ける者がいる。
「お嬢様!」
「アマデウス!」
「トレーラーは?」
「大丈夫です。中のコントロールギアも無事ですぞ……と、なぜこの方がこ
ちらに?」
「説明は後だ! 急ぐぞ!」
疑問符を浮かべるアマデウスを押し込みながら、三人はトレーラー内に飛び
込む。中からはまばゆい光が溢れ、やがて一帯を埋め尽くした。
グォォォォォォオオオオオオオオオオオ
ギャァァァァァアアアアアアアアアアア
ようやく到着したアガシオンと、ちょうど入れ違いになるように。
「アマデウス!」
「行くぞ! ガーネット!!」
二匹のドラゴンは、天へと昇って行った。

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